「さっぱりとしているのに奥深い!」「こんなに種類があるの?」日本のしゃぶしゃぶの『すべて』がこちら!

※写真はイメージ

しゃぶしゃぶは、薄切りの肉を熱い出汁にサッとくぐらせて食べる日本の代表的な鍋料理です。

『しゃぶしゃぶ』という名前は、肉を出汁に通す際の音を表現したもので、その独特な食べ方と上品な味わいで多くの人に愛されています。戦後に誕生したこの料理は、中国の『涮羊肉(シュワンヤンロウ)』にルーツを持つといわれながらも、日本独自の発展を遂げました。

牛肉だけでなく、豚肉、鶏肉、魚介類などさまざまな食材で楽しまれ、ポン酢やごまダレといった特製のタレと組み合わせることで、素材のうまみを最大限に引き出します。

日本の鍋料理は、しゃぶしゃぶ以外にも多種多様に存在します。日本の鍋料理全般の種類や選び方について詳しく知りたい人は、こちらの記事もご参照ください。

しゃぶしゃぶとは?日本が誇る繊細な鍋料理

しゃぶしゃぶとは、薄くスライスした肉を沸騰した出汁に短時間くぐらせて食べる日本の鍋料理です。その名前の由来は、肉を出汁の中で『しゃぶしゃぶ』と動かす音からきているといわれています。

しゃぶしゃぶの基本スタイル

にいむら 本店』で提供される『和牛しゃぶしゃぶセット(1人前)』

しゃぶしゃぶの最大の特徴は、薄切りの肉を熱い出汁にわずか数秒間くぐらせるだけで食べられることです。この調理法により、肉本来のうまみと柔らかさを保ちながら、余分な脂肪を落とすことができます。主に使用される肉は牛肉ですが、現在では豚肉、鶏肉、さらには魚介類まで幅広い食材で楽しまれています。

出汁には昆布を使用するのが一般的で、あっさりとした味わいが肉のうまみを引き立てます。食べる際は、ポン酢やごまダレといった特製のタレにつけることで、さらに風味豊かな味わいを楽しむことができます。

タレの種類と特徴

しゃぶしゃぶに欠かせないのが、さまざまなタレです。最も代表的なのはポン酢で、柑橘系の酸味が肉の脂っこさを中和し、さっぱりとした味わいを演出します。ポン酢には大根おろし、ネギ、七味唐辛子などの薬味を加えることで、より豊かな風味を楽しめます。

もう1つの定番であるごまダレは、濃厚でクリーミーな味わいが特徴で、肉のうまみをしっかりと包み込みます。ごまダレにはラー油やニンニクを加えることで、辛味や香りのアクセントを楽しむことも可能です。

にいむら 本店』で提供される『和牛しゃぶしゃぶセット(1人前)』のポン酢(右)と胡麻ダレ(左)

しゃぶしゃぶ誕生の歴史と文化的背景

日本のしゃぶしゃぶの歴史は、戦後間もないころ、京都で始まったといわれています。当初は『牛肉の水炊き』として提供されていた料理が、現在のしゃぶしゃぶの原型だとされています。

中国料理からの影響

しゃぶしゃぶのルーツをさかのぼると、中国・北京の伝統料理『涮羊肉』に行きつくともいわれています。『涮(シュワン)』という言葉は『熱湯でサッとゆがく』という意味を持ち、薄切りの羊肉を湯にくぐらせて特製のタレで食べる冬の定番料理でした。

戦後の日本では羊肉の入手が困難だったことから代わりに牛肉を使用し、その結果日本独自のしゃぶしゃぶ文化が始まったとされています。また、出汁やタレも日本人の嗜好に合わせてアレンジされ、昆布出汁やごまダレが開発されました。

商品化と全国への普及

1952年、大阪の『スエヒロ』で『しゃぶしゃぶ』が正式に商品化されました。これを契機に、しゃぶしゃぶは関西から関東、そして全国へと広まっていくことになります。

現在では、専門店から高級レストラン、家庭料理まで幅広いシーンで楽しまれており、日本の鍋料理の代表格として世界中で認知されています。健康志向の高まりとともに、高たんぱく、低カロリーな料理としても注目を集めています。

しゃぶしゃぶの正しい食べ方とマナー

しゃぶしゃぶをおいしく食べるためには、正しい食べ方を知ることが重要です。適切な手順とマナーを守ることで、食材本来のおいしさを最大限に楽しむことができます。

基本的な食べ方の手順

まず、出汁が沸騰したら肉を1枚ずつ取り、箸でつまんで出汁の中で軽く動かします。牛肉の場合は3〜4秒程度で、牛肉にほんのりピンク色が残る状態がベストです。豚肉や鶏肉の場合は、安全のためにしっかりと火を通しましょう。

にいむら 本店』で提供される『和牛しゃぶしゃぶセット(1人前)』の和牛

火が通った肉は、お好みのタレにたっぷりとつけて食べます。ポン酢の場合は大根おろしや薬味と一緒に、ごまダレの場合はそのままでも十分おいしくいただけます。肉を食べた後は、野菜やキノコ類を適量加えて、出汁にうまみを加えていきます。

にいむら 本店』で提供される『和牛しゃぶしゃぶセット(1人前)』の和牛

野菜の調理とタイミング

野菜類は肉の後に入れるのが一般的ですが、火が通りにくい食材は先に入れておくことが重要です。ニンジンやシイタケなどの野菜は早めに、白菜や春菊などの葉物野菜は後から加えましょう。

にいむら 本店』で提供される『和牛しゃぶしゃぶセット(1人前)』の野菜

アク(泡)が出てきたら、こまめに取り除きましょう。スープをきれいに保つことで、最後までおいしく食べることができます。時間とともに野菜からうまみが出てくるため、出汁の味が深くなっていくのもしゃぶしゃぶの醍醐味の1つです。

締めの楽しみ方

肉や野菜を食べ終わったら、うまみが凝縮された出汁でうどんやご飯を調理するのが一般的です。

この締めによって、しゃぶしゃぶを最後まで余すことなく楽しむことができます。うどんの場合は煮込みすぎないよう注意し、ご飯の場合は雑炊として卵を加えるのも人気です。

にいむら 本店』で提供される『和牛しゃぶしゃぶセット(1人前)』の締めのうどん

伝統的な日本のしゃぶしゃぶについて「もっと知りたい!」という人は、こちらの記事もご覧ください。

バリエーション豊富なしゃぶしゃぶの世界

現代のしゃぶしゃぶは、伝統的な牛肉のしゃぶしゃぶから大きく発展し、さまざまな食材や調理法で楽しまれています。季節や好みに応じて、多彩なバリエーションを選択できるのが魅力です。

舌でも目での楽しむ進化したしゃぶしゃぶ

しゃぶしゃぶがおいしいことは、誰もが知っています。しかし、「見た目もかわいい!」といわれたら驚く人が多いのではないでしょうか。

一般的なしゃぶしゃぶのイメージを覆す、かわいいしゃぶしゃぶが楽しめる店が渋谷駅の近くにあります。出汁を凝縮させて作った『くまちゃん』が温泉に浸かっているかのようなビジュアルが話題の『くまちゃん温泉』はSNSで注目を集めるレストラン。

くまちゃん温泉』で提供される『くまちゃん』

気になる人は、ぜひこちらの記事もご覧ください。

牛肉以外の食材で楽しむしゃぶしゃぶ

夏の暑い時期には、冷しゃぶ(れいしゃぶ)が人気です。湯通しした肉を冷水で冷やし、サラダ感覚で楽しむこのスタイルは、暑い季節でもさっぱりと肉を味わえる工夫として生まれました。冷製のタレや新鮮な野菜と組み合わせることで、夏バテ防止にも効果的な一品となります。

※写真は『冷しゃぶ』イメージ

一方、焼きしゃぶは薄切り肉を軽く焼いてからタレにつけて食べるスタイルで、焼肉よりもあっさりしながら肉のうまみをしっかりと引き出すことができます。また、すきしゃぶは、すき焼き風の甘辛い割り下でしゃぶしゃぶするスタイルで、伝統的なしゃぶしゃぶとすき焼きのよさを併せ持っています。

多彩な食材のしゃぶしゃぶ

近年では、牛肉以外の食材を使ったしゃぶしゃぶも非常に人気です。カニしゃぶは冬の定番として親しまれ、カニの繊細なうまみと甘みを堪能できます。ブリしゃぶは脂の乗った寒ブリを使用し、魚介類ならではの上品な味わいが楽しめます。

※写真は『カニしゃぶ』のイメージ

鶏しゃぶはヘルシーであっさりした味わいが特徴で、健康志向の人や脂肪分を控えたい人に特に人気があります。また、ラムしゃぶは、しゃぶしゃぶのルーツともいわれる中国の『涮羊肉』に近いスタイルで、ラム肉特有の風味を楽しむことができます。

地域ごとの特色あるしゃぶしゃぶ

日本各地では、その土地ならではの食材を使ったしゃぶしゃぶが楽しまれています。北海道では新鮮な海の幸を使った海鮮しゃぶしゃぶ、九州では黒毛和牛を使った贅沢なしゃぶしゃぶなど、旅行先でその地域特有の味を体験することも可能です。

しゃぶしゃぶの種類 主な食材 特徴
牛しゃぶしゃぶ 牛薄切り肉 最も一般的、上品な味わい
豚しゃぶしゃぶ 豚薄切り肉 あっさりとした味、コストパフォーマンス良好
カニしゃぶ カニ身 冬の高級料理、繊細な甘み
ブリしゃぶ ブリ切り身 脂が乗った魚のうまみ、冬が旬
鶏しゃぶ 鶏薄切り肉 ヘルシー、あっさりした味わい

1人で楽しむこともできる新時代のしゃぶしゃぶ

しゃぶしゃぶには『大人数で楽しむ料理』というイメージがあります。

その印象は、外国人のみならず、日本人にとっても一般的な印象でした。しかし、最近では、そのイメージをいい意味で覆すレストランが急増しています。

『1人しゃぶしゃぶ』もその代表例。「大好きなしゃぶしゃぶを、独り占めしたい!」という人は、そういったレストランを利用するのもよいでしょう。

しゃぶしゃぶれたす』で提供される『神戸牛セット』

神戸牛を使った本格的なしゃぶしゃぶを1人で楽しむことができる渋谷のレストラン情報が気になる人は、こちらもご覧ください。

まとめ

しゃぶしゃぶは、戦後の日本で生まれた比較的新しい料理でありながら、今や日本の食文化を代表する鍋料理として世界中で愛されています。薄切りの肉を短時間で調理するシンプルな手法により、食材本来のうまみを最大限に引き出すことができ、健康志向の現代人にも理想的な料理になっています。

日本を訪れる際は、ぜひ専門店や高級レストランで本場のしゃぶしゃぶを体験してみてください。

丁寧に準備された出汁、上質な肉、伝統的なタレの組み合わせは、日本でしか味わえない特別な体験となるはずです。また、地域ごとに異なる食材や調理法を楽しむことで、日本の豊かな食文化をより深く理解することができるでしょう。