自宅で簡単にできる漬物レシピ 日本の漬物の種類を知ればより楽しい

日本の食卓に欠かせない存在である、漬物。見た目は素朴でも、味わいは奥深く、ご飯との相性も抜群です。

この記事では、漬物の基本から種類、家庭での作り方までご紹介します。

漬物とは何か?

日本の食卓で昔から親しまれてきた漬物は、主に野菜を塩や酢、ぬか(米ぬか)などに漬けて保存し、うまみや風味を引き出した食品です。

特にぬか漬けのような漬物は、発酵の力を利用して作られます。乳酸菌などの善玉菌を含み、腸内環境を整える働きが期待できることから、健康志向の人々からも注目される存在です。

見た目はシンプルでも、健康面での効果も期待でき、かつ食材によって食感も風味も変わる漬物はとても奥深い存在。日本料理における名脇役ともいえます。

※写真はイメージ

そんな漬物が日本料理で大切にされている理由の1つは、なんといってもご飯との相性のよさです。

日本の家庭では、漬物はご飯のお供として食べられることが多く、特に白米と一緒に食べると、塩気や酸味がごはんの甘みを引き立ててくれます。

箸休めとしての役割も果たしてくれるのが、漬物。

特に和食では、料理の合間に少しずつ漬物を食べる、箸休めの文化があります。

濃い味のおかずや脂っこい料理の後に、口の中をさっぱりリセットしてくれる存在として重宝されているのです。

漬物に使われる食材:ウメやキュウリ、キャベツなど種類は豊富

漬物に使われる食材は多種多様ですが、主に以下のような野菜が使われます。

  • ダイコン:漬物の代表格。漬物にすることで、ポリポリとした食感になる
  • ウメ:ダイコンと並ぶ漬物の代表格で、おにぎりの具材としても使われる
  • 白菜:葉はしんなりとやわらかく、芯はシャキシャキとした異なる食感が楽しめる
  • キュウリ:シャキシャキとした食感はそのままに、ほどよくやわらかくなった食感

ほかにもナスやミョウガなど、漬物に使われる食材に制限はありません。

塩や酢、味噌、ぬか床などに漬け込むことで、それぞれ異なる風味と食感の漬物が生まれます。

漬物に関するよくある質問

Q1. 漬物ってどんな味?
A. 種類によりますが、一般的にはしょっぱい、酸っぱい、もしくはほのかに甘みを感じる味です。梅干しは非常に酸っぱく、たくあんはほんのり甘く、しば漬けはしょっぱい中にも香りがあります。

Q2. 日本人は毎日漬物を食べるの?
A. 毎日というわけではありません。しかし、多くの人が朝ごはんや弁当、旅館の朝食などで日常的に食べています。また、飲食店の定食では必ずといっていいほど、漬物が添えられています。

Q3. 漬物は前菜?それともおかず?
A. 基本的には副菜または箸休めの位置づけです。前菜というよりも、白米と一緒に食べるか、濃い味のおかずの合間に口をさっぱりさせるために食べられます。

Q4. ピクルスと漬物は同じもの?
A. 似ているけれど別物です。ピクルスは主に酢と砂糖で味付けされた保存食で、サンドイッチなどに添えられることが多いです。一方の漬物は、より食材本来の味を生かしており、和食と一緒に楽しむために作られています。

Q5. ヴィーガンでも食べられる?
A. 基本的に野菜から作られるのでヴィーガン対応が多いです。しかし、調理工程の中で、カツオ節からとった出汁や、魚由来の調味料が含まれる場合もあります。パッケージの原材料を確認するのが安心です。

漬物の代表的な種類:地域と文化が生んだ多様な味わい

日本の漬物には、全国どこでも親しまれている定番のものから、各地の風土に根ざした漬物、そして旅行のお土産として人気のあるものまで、実に多くの種類があります。

全国で食べられている定番の漬物

■たくあん
白色もしくは黄色い見た目が特徴の、ダイコンの漬物。ご飯によく合い、弁当や定食にもよく使われる、日本の代表的な漬物の1つです。

※たくあん

■梅干し
塩漬けしたウメを天日干しし、シソの葉と一緒に漬け込んで作ります。種類にもよりますが、多くの梅干しは強い塩気と酸味で、暑い季節には食欲を刺激します。

※梅干しを使った弁当

■浅漬け
短時間で作れるさっぱりとした漬物で、塩や昆布、酢などで軽く味付けされています。キュウリ、白菜、ナスなどが定番の食材。塩気や酸味はほぼなく、初めて漬物を食べる人におすすめです。

※浅漬け

■しば漬け
キュウリやナス、シソなどを塩で漬けて発酵させて作るしば漬けは、京都の名物。紫がかった色と酸味が特徴で、ご飯やおにぎりの付け合わせに最適です。

※しば漬け

■福神漬け
ダイコン、レンコンなどを細かく刻み、甘辛く味付けした漬物です。カレーライスと一緒に食べることが多く、日本のカレー文化には欠かせません。

※新宿にあるカレー店『モンスナック』の福神漬け(左)

日本各地のご当地漬物

日本各地には、その地域ならではの気候や食材を活かした漬物があります。旅先でしか出会えない味も多く、日本文化の奥深さを感じられる存在です。

■秋田県:いぶりがっこ
ダイコンを燻製にしてから、ぬかに漬けた、秋田の伝統的な漬物です。独特の香ばしさとコリコリした食感が魅力で、チーズと合わせるアレンジも人気です。

※チーズと組み合わせたいぶりがっこ

■京都府:千枚漬け
京野菜の1つである『聖護院かぶ』を薄くスライスし、甘酢で漬けてあります。酸味はやわらかく、見た目も美しいため、正月などの特別な場の食卓で重宝されます。

※千枚漬け

■愛知県:守口漬け(もりぐちづけ)
世界一長いとされる『守口大根』を、酒粕で長期間漬け込んだ高級な漬物です。甘みがあり、風味もよく、お茶請けや贈答用としても喜ばれます。

※守口漬け

■静岡県:わさび漬け
刻んだわさびの茎と酒粕を混ぜて作る香り高い漬物です。辛みと酒粕の甘みが合わさった、クセになる味わいです。

※わさび漬け

■熊本県をはじめとした九州地方:高菜漬け
葉野菜のタカナを塩漬けにし、発酵させた漬物です。九州地方のラーメンのトッピングとしてよく使われるほか、炒めてご飯に乗せれば『高菜ごはん』になります。

※高菜漬けをのせた白米

旅行や観光の際、日本ならではの味を持ち帰るお土産として漬物を選ぶ人は少なくありません。

有名な観光地のお土産売り場には、必ずといってよいほど漬物が並んでいます。パッケージがかわいいものや、日持ちがするタイプも多く、手軽に日本の食文化をシェアできる贈り物です。

家庭で作れる!キュウリとキャベツを使った漬物レシピ

漬物というと、手間がかかりそうなイメージを持たれるかもしれませんが、実は家庭で手軽に作れる種類もたくさんあります。

特に浅漬けは、時間もかからず、材料もそろえやすいため、漬物作りが初めての人にも最適です。

ここでは、1年を通して手に入れやすいキュウリとキャベツを食材にした浅漬けのレシピを紹介します。

材料

  • キュウリ:1本
  • キャベツ:2〜3枚
  • 塩:小さじ1
  • 白ごま:適量(お好みで)
  • 醤油:小さじ1(お好みで)
  • 乾燥させた昆布もしくは昆布茶:適量(お好みで)

浅漬けの基本的なレシピは、塩で漬ける、ただそれだけです。

シンプルな味わいのため、アクセントを加えたい場合は、出汁として昆布を加えてもよく、より手軽さを求めるなら醤油や和風顆粒出汁を加えてもいいでしょう。

また、唐辛子も一緒に漬ければ、まろやかな辛みが加わり、おすすめ。シンプルなレシピの分、アレンジの幅は無限大です。

レシピ

①野菜をカットする

キュウリは薄めの輪切りに、キャベツはざく切りにします。

②カットした野菜に塩をふり、もむ

ボウルもしくはポリ袋に野菜を入れ、塩をふって軽くもみ込みます。

③冷蔵庫で寝かせる

保存容器に移し、冷蔵庫で1〜2時間ほど置きます。

時間をおくほど味がなじむため、1日置いておいても問題ありません。

この際、乾燥させた昆布を5cm角程度にカットしたものや、昆布茶を入れると風味が増します。

④味をととのえる

味を確認し、必要に応じて醤油を加えてください。食べる直前に、お好みで白ごまをふって、完成です!

浅漬けは、ごはんのお供としてはもちろん、脂っこい料理の後や、食欲がないときにもぴったり。

さっぱりとした味わいが口の中をリセットしてくれるので、朝食や夜食にもおすすめです。

冷蔵庫に少しあるだけで、食卓がぐっと豊かになり、食材や味付けを自由にアレンジできるのも漬物の魅力。

旅先でお土産に購入するだけでなく、自宅で手軽に作れる浅漬けで、日本の家庭の味を気軽に楽しんでみてはいかがでしょうか。