日本の食文化にふれていると、きっと一度は出会うであろう納豆という存在。
日本人の朝食の定番である納豆ですが、独特なにおいや糸を引く見た目に、最初は戸惑ってしまう人は多いかもしれません。
しかし、納豆はとてもヘルシーで、世界的にも注目されつつある発酵食品なのです。
今回は、少しユニークで奥深い、日本の納豆の魅力を紹介します。日本の食文化に触れながら、身体にも嬉しい納豆の世界を、一緒にのぞいていきましょう!
納豆とは:どのように作られている?
納豆とは、日本で古くから親しまれてきた発酵食品の1つです。
主な原料は大豆と納豆菌。見た目こそ小さな茶色い豆ですが、1粒に日本の食文化と自然の恵みがぎゅっと詰まっています。

※写真はイメージ
納豆の原料となる大豆は、まず丁寧に洗浄され、水に一晩ほど浸してふっくらと戻すところから始まります。
その後、蒸したり煮たりしてやわらかくした大豆に加えるのが、納豆菌(バチルス・サブチリス)という微生物。ここからが、納豆作りにおいて最も重要なステップである、発酵の工程です。
納豆菌は熱や酸素に強く、適度な湿度と温度の中で活発に働きます。
約18〜24時間かけて発酵を進めることで、大豆は特有の香りや糸を引く粘り、そして深いうまみをもつ納豆へと変化していくのです。

※大豆を水につけてやわらかくする工程
発酵が終わったら、納豆菌の働きを止めるため冷却し、パックに詰めれば、出荷の準備が完了。
さらに1日ほど冷蔵で熟成させることで、味にまろやかさが加わり、より風味豊かな納豆に仕上がります。

※パック詰めにされた納豆
納豆の起源には諸説ありますが、日本では奈良時代から食べられていたという記録もあり、武士や農民の保存食としても重宝されてきました。
昔は稲の皮である藁に包んで自然発酵させていたため、今でも『わら納豆』と呼ばれる昔ながらのスタイルは、一部の地域で見られます。

※わら納豆
現代では、納豆は衛生的な環境で製造され、スーパーやコンビニでも手軽に手に入る存在になりました。
手軽さはありながらも、発酵という自然の力と人の知恵は現代まで受け継がれています。
納豆はただの豆料理ではなく、『生きた発酵食品』。今も私たちの食卓を豊かに彩ってくれているのです。

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好き嫌いが別れる納豆:におい・粘り・味の特徴
納豆といえば、独特なにおいや、糸を引く粘りこそが特徴。実はこれこそが、納豆らしさを形づくる大切な個性でもあります。
発酵によって生まれる香りは、少しツンとしたアンモニア系のにおいで、熟成チーズのように感じる人もいれば、苦手意識を抱く人も。
香りに敏感な人にとっては、最初のハードルになりやすいポイントです。
そしてもう1つの特徴が、豆同士が細い糸でつながる強い粘り。納豆の粘りは、納豆菌が大豆のたんぱく質を分解してできたもので、身体にも嬉しい成分を含んでいます。
しかし、食べ慣れていない人には、フォークでつかみにくい点や、口の中で糸が残る点など、少し扱いづらく感じることもあるかもしれません。

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味わいはというと、意外にもあっさりしていて、大豆の自然な甘みが感じられます。
食べる際は、醤油やからし、ネギなどの薬味を合わせることで、納豆のうまみがぐんと引きたつので、ぜひ試してほしい食べ方。
特に発酵による深いコクと後味のまろやかさは、好きになるとクセになるおいしさです。

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納豆を好む人の中には、「1日1パックは欠かせない!」という人も少なくありません。
ただし、におい、粘り、見た目のユニークさから、納豆は日本人の間でも好き嫌いが分かれる食材でもあります。
それは、世界中の発酵食品に共通するもの。最初は少し戸惑っても、慣れてくると、納豆の奥深い世界がきっと見えてくるはずです。
納豆はスーパーフード?:栄養と健康効果
実は納豆は、世界的に見てもとても優れた『発酵スーパーフード』として注目されている存在です。
見た目は地味でも、小さな1粒には、身体に嬉しい栄養素がたっぷりと詰まっています。
■納豆に含まれる代表的な栄養素
ナットウキナーゼ:納豆菌が作り出す酵素。血液がさらさらになる働きが期待できる。
ビタミンK2:骨を丈夫にしてくれる成分。豆に豊富に含まれており、日々の健康維持に役立つ可能性が期待されている。
植物性たんぱく質:納豆の原料である大豆は、アミノ酸のバランスがよく、肉や魚と同じく良質なたんぱく質源。
ほかにも、食物繊維や鉄分、マグネシウム、ビタミンB2など、身体作りに役立つ成分がバランスよく含まれている納豆。
たった1パックで、発酵による腸へのアプローチ、骨への栄養、質の高いたんぱく質まで、さまざまな栄養を補うことができる食品です。
それでいて納豆は低カロリーで、健康的なダイエットのサポートにも役立ちます。
毎日の食卓に少しずつ取り入れてみることで、からだの内側から整えるお手伝いをしてくれるかもしれません。
納豆の食べ方いろいろ:定番からアレンジメニューまで
納豆は和食の枠を超えて、さまざまな料理と相性がよい万能食材です。
王道のご飯と一緒に楽しむのもよいですが、納豆の風味が苦手な人にもおすすめしたい、アレンジメニューも紹介します。
ぜひ自分好みの食べ方を見つけてみてください。
ご飯と一緒に:朝の定番スタイル
納豆といえば、やはりまずはご飯との組み合わせが基本です。
特に日本の朝食では、炊きたてのご飯に納豆を乗せて、醤油やからしを少し加えるのが定番のスタイル。
シンプルで飽きがこず、さっと食べられるのも魅力です。
家庭の食卓はもちろん、旅館やホテルの朝食ビュッフェにはパックに入った納豆が並び、日本の朝の風景には欠かせない存在といえます。

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巻き寿司や軍艦で:寿司ネタとしての納豆
寿司店さんでも見かける、納豆巻き。細巻きのスタイルで、酢で味付けしたシャリと納豆、海苔の絶妙なバランスが楽しめる1品です。
さっぱりしていて、子供や納豆初心者にも食べやすいのが、納豆巻きの嬉しいポイント。
また、納豆を軍艦巻きにして、マグロのたたきやイカなど、ほかの具材と組み合わせたバリエーションもあります。

※納豆巻き
トーストにトッピング:意外なおいしさ、洋風アレンジ
アレンジメニューとしておすすめしたいのが、納豆をパンにのせて楽しむトーストとの組み合わせです。
納豆にチーズやバターを合わせて、トースターで軽く焼けば、コクとうまみがじんわり広がる新感覚の朝ご飯に早変わり!
チーズのとろける食感と納豆の粘りが合わさり、満足度も抜群です。
バゲットや全粒粉パンなど、パンの種類を変えても楽しめます。

※納豆のトースト
パスタにからめて:和風&ヘルシーな一皿に
納豆はパスタとも相性ばっちり。ニンニクとオリーブオイルで納豆を軽く炒めて、醤油で味付けし、仕上げにネギを散らせば、和風パスタの完成です。
納豆の粘りがソースの役割を果たし、麺にしっかり絡みます。
お好みで大葉や海苔、卵黄をトッピングすれば、見た目も味もさらに華やかに。ヘルシーですが、しっかり満足感のある1皿に仕上がります。

※納豆パスタ
どこで食べられる?:納豆との出会いスポット
日本の食卓に欠かせない存在なだけに、納豆は意外とあちこちで気軽に楽しめます。
旅館やホテルの朝食
日本らしい朝食を体験したいなら、旅館やホテルの朝食は絶好のチャンス。
定食には、小鉢として納豆が添えられていることが多く、炊きたてのご飯と一緒にいただくのが定番スタイルです。

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ビュッフェ形式の場合は、小さなパック入りの納豆が並び、自分の好きなタイミングで楽しむこともできます。
旅行中の朝に、ゆっくり味わう納豆体験は、日本文化へのちょっとした入り口になってくれるはずです。
定食を提供する飲食店
定食店や家庭的な食堂でも、納豆はよく見かける1品。店の通常メニューとは別で、追加の小鉢として納豆を注文できるところもあります。
栄養をプラスしたい時や、食事の満足度をあげたい時にも、追加で注文できる納豆は頼もしい存在。
ふらっと立ち寄った食堂で納豆と出会う、そんなカジュアルな体験もおすすめです。
コンビニ
コンビニエンスストアでも、納豆は身近な存在です。
冷蔵コーナーには、3パック1セットの納豆が並んでいることが多く、旅行中のホテルの朝ご飯にもぴったりです。
1パックだけのタイプもあり、少量で気軽に試せるのが嬉しいですね。
さらに、手軽に食べられる納豆巻きも人気アイテムの1つ。海苔巻きスタイルでにおいも控えめ、持ち運びにも便利なので、納豆を試す最初のきっかけにちょうどよいかもしれません。
スーパーマーケット
納豆をおうちでも楽しみたいなら、スーパーマーケットが頼れる味方。
種類も豊富で、粒の大きさや味付け、パックの形など、自分の好みに合わせて選べます。
価格も手頃なので、いろいろ試してお気に入りを見つける楽しさも。旅行中にキッチン付きの宿泊先を利用する人や、長期滞在の人にもおすすめです。

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納豆初心者へのすすめ:食べやすくする工夫
「健康によいとは聞くけれど、納豆のにおいや粘りが苦手」と感じる人は少なくありません。
ましてや初心者であれば、当然の感想です。しかし、納豆を初めて食べる人でも、ちょっとした工夫で驚くほど食べやすくなります。
香りをマイルドにするには?
ひきわり納豆を選ぶ:粒が小さく、香りも比較的控えめです。
ポン酢やごま油で味を付ける:付属のタレを使わず、さっぱり系の調味料で味を調えると風味がやわらぎます。
粘りが気になる時は?
混ぜすぎない:粘りは混ぜるほど強くなるので、10〜20回くらいを目安に軽く混ぜるだけにしてみるのも、1つの手です。
生卵やとろろをプラス:粘りが分散され、さらっとした食感に変わります。
汁物の具材にする:味噌汁の具材に納豆が使われる場合もあります。粘り気が弱まり、汁にとろみが出て、意外なおいしさです。

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ほかの食材と組み合わせる
アボカド:まろやかでねっとり感が納豆と相性抜群です。
キムチ:酸味と辛みが納豆の香りや味をマイルドにしてくれます。
チーズ:意外な組み合わせと思いきや、チーズの塩気がちょうどよいアクセントを加えてくれます。

※写真はイメージ
独特の香りや粘りに戸惑うかもしれませんが、工夫次第でぐっと食べやすくなるのが納豆の魅力。栄養も豊富で、身体にもやさしい発酵食品です。
まずは気軽に、自分に合ったスタイルで一度試してみてください。納豆の新しいおいしさに、きっと出会えるはずです。