「五臓六腑に染み渡る!」「ガツンとくる味わい」日本4大ラーメンの魅力から東京の人気店までをご紹介!

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日本旅行を計画する際、必ず楽しみたい食べ物の1つがラーメンです。

日本全国には多くのラーメン店が存在し、地域ごとに独自の進化を遂げています。ラーメンは、もともと中国から伝わった麺料理でした。それが日本独自の文化として発展し、今では安価な街の食堂からミシュラン掲載の高級店まで幅広く楽しめる国民的料理となりました。

この記事では、訪日前に知っておきたいラーメンの基本的な種類と特徴、選び方のコツを詳しく解説します。

日本におけるラーメン文化の概要

日本のラーメンは、単なる食事を超えた深い文化的背景を持っています。17世紀頃に中国から伝来したとされる麺料理が、日本人の味覚と創意工夫により独自の進化を遂げ、現在のラーメンへと姿を変えていきました。

ただし、中国から伝来した直後は、庶民にまで広がることはなく、限られた人の中だけで食べられていたようです。その後、江戸時代末期から明治時代にかけて、少しずつ広まり、大正時代初期には日本各地に広まっていったといわれています。

現代の日本では、ラーメンは国民食として親しまれており、24時間営業の店舗も多く存在します。また、地域ごとに特色ある味わいが発展し、北海道の味噌ラーメン、九州の豚骨ラーメン、東京の醤油ラーメンなど、それぞれの土地の気候や食材を生かしたスタイルが確立されています。

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近年では、ラーメンを題材とした映画やドラマの影響もあり、国際的な注目度も高まっています。ミシュランガイドに掲載されるラーメン店も登場し、従来の庶民的なイメージから高級料理へと印象を変えています。

ラーメンの起源と歴史

ラーメンの起源は1859年の横浜開港までさかのぼります。中国人の間でだけ知られていた中華麺料理が日本人の口に合うよう改良され、徐々に日本全国に広がっていきました。

20世紀初頭には、日本人向けに調整されたラーメンが店舗で提供されていたことが確認されています。醤油をベースにした醤油ラーメンが、現在も親しまれているラーメンの原型。その後、戦後の食糧不足の時代を経て、安価で栄養価の高い食事として庶民に愛され、急速に普及していきます。

ラーメンは、1950年代以降、インスタントラーメンの発明により家庭でも手軽に楽しめるようになりました。さらに1980年代からは地域の特色を生かしたご当地ラーメンブームが到来。現在では、伝統的なスタイルを守る店から、革新的な創作ラーメンを提供する店まで、多種多様な専門店が存在しています。

日本の人気ラーメン4選

日本のラーメンは主に使用するタレによって4つの基本スタイルに分類されます。それぞれ異なる味わいと特徴を持ち、地域や季節によって好まれる傾向も変わります。

醤油ラーメン

醤油ラーメンは日本で最も歴史が古く、最も一般的なラーメンスタイルです。スープは、醤油ベースのタレに鶏ガラや野菜、乾物などから取った出汁を合わせて作られます。

スープの色は透明から濃い茶色まで幅広く、使用する醤油の種類や配合によって味わいが大きく変わります。濃口醤油を使用した関東風と、薄口醤油を使用した関西風では、見た目も味も異なります。

醤油ラーメンの魅力は、シンプルながら味わいが奥深いこと。素材のうまみを生かしたスープは、飲み干すことができるほど上品で、初めてラーメンを食べる人にも親しみやすい一杯といえるでしょう。

麺 銀座おのでら本店』で提供される『麺 銀座おのでら 至高~supreme~』の醤油スープ

ミシュラン獲得のシェフが手掛けた醤油ラーメンについて「もっと知りたい!」という人は、こちらもご覧ください。

塩ラーメン

塩ラーメンは4つのスタイルの中で最もあっさりとした味わいが特徴です。塩ベースのタレに、鶏ガラ、豚骨、魚介などさまざまな素材から取った出汁を組み合わせて作られます。

多種多様な種類が存在しますが、一般的にはスープに透明感があり、素材本来のうまみを最も感じやすい仕上がり。脂分が少なく、塩気がしっかりときいているため、さっぱりとした後味です。特に暑い季節や、こってりした料理の後に好まれる傾向があります。

近年では、魚介系の出汁を使用した塩ラーメンが人気を集めており、海の幸豊かな日本ならではの味わいを楽しむこともできます。レモンやすだちなどの柑橘類を加えて、よりさわやかに仕上げれば、五臓六腑に染み渡る至極の味わいを堪能できるはずです。

麺屋海神』で提供される『あら炊き塩らぁめん』

透き通るほどクリアでシャープな塩スープが気になるなら、こちらの記事もご覧ください。

味噌ラーメン

味噌ラーメンは発酵大豆ペーストである味噌を使用した濃厚でコクのあるスタイルです。北海道・札幌が発祥地とされ、寒冷地で身体を温める料理として発達しました。

使用する味噌の種類によって味わいが大きく変わり、白味噌、赤味噌、合わせ味噌などさまざまなバリエーションが存在します。信州味噌、仙台味噌、九州麦味噌など、地域特産の味噌を使用した個性的な味噌ラーメンも各地で楽しめます。

味噌ラーメンの特徴は、深いコクと濃厚な味わいにあります。野菜との相性もよく、モヤシ、コーン、ニラなどの具材がよくトッピングとして使用されます。寒い季節や疲れた身体に染み渡る温かさが魅力的といえるでしょう。

萬馬軒 橙 池袋店』で提供される『味噌ラーメン』の中太オリジナル麺

都内屈指の味噌ラーメン人気店の詳細は、こちらの記事をどうぞ。

豚骨ラーメン

豚骨ラーメンは豚の骨を長時間煮込んで作る白濁したスープが特徴的なスタイルです。九州地方の福岡県が発祥地で、博多ラーメンや久留米ラーメンなどの名称でも親しまれています。

豚骨を12時間以上煮込むことで、コラーゲンやゼラチンが溶け出し、濃厚でクリーミーなスープが完成します。栄養価が高く、美容効果も期待できるため、女性にも人気があります。麺は細麺が使用されることが多く、硬めの茹で加減が一般的です。

地域によって味の特徴が異なり、博多は比較的あっさり、久留米はより濃厚、熊本は焦がしニンニクの香りが個性的。替え玉も豚骨ラーメン文化の1つで、追加の麺を注文すると、麺のみ(替え玉)が提供されるシステム。それを、残ったスープに入れて、2杯目の豚骨ラーメンを楽しみます。

東京じゃんがら』で提供される『東京とんこつじゃんがら』に『替え玉』をプラス

実際に、『九州じゃんがら』で『東京とんこつじゃんがら』を注文して、『替え玉』(150円)をお願いすると…詳細はこちらの記事でご確認ください。

その他のユニークなラーメンスタイル

4大スタイル以外にも、日本独自の進化を遂げたユニークなラーメンが数多く存在します。

つけ麺

つけ麺は麺とスープ(つけ汁)を別々に提供し、つけ汁に麺をつけて食べるラーメンの一種。1960年前後に東京の『大勝軒』で考案されたとされ、現在では全国的に人気を博しています。

濃厚なつけ汁に太めの麺をつけて食べる、いわゆるガツンと来る味わい。麺本来の食感と小麦の風味をより強く感じられる点も特徴の1つです。つけ汁は通常のラーメンスープよりも濃い味付けになっており、麺を絡めて食べることで丁度よい味わいになります。

最後は、食べ終わった後のつけ汁にスープを注いで薄め、締めのスープとして飲み干しましょう。この文化は『スープ割り』と呼ばれ、つけ麺を最後までおいしく楽しむための工夫とされています。

六厘舎』で提供される『特製つけめん』

豚骨や鶏ガラなど、動物系の素材からとったスープが極太麺によく絡む至極のつけ麺はこちら!

冷やし中華

冷やし中華は夏限定で提供される冷製ラーメンで、暑い季節の定番メニューです。茹でた麺を冷水で冷やし、野菜やハム、卵などの具材を彩りよくトッピングします。

タレは醤油ベースまたは胡麻ベースが一般的で、酸味のきいたさっぱりとした味わいが特徴。キュウリ、トマト、ハム、錦糸卵、チャーシューなどの具材が美しく盛り付けられ、見た目も涼しげです。

6月から9月頃の限定メニューとして提供される店舗が多く、日本の夏の風物詩としても親しまれています。一方で、最近では通年提供する店舗も増え、季節を問わず楽しめるようになりました。

※写真は『冷やし中華』のイメージ

油そば・まぜそば

油そばとまぜそばはスープを使わず、タレと油を麺に絡めて食べるスタイルです。水分が少ないため、麺本来の味と食感をダイレクトに楽しむことができます。

油そばは主にラードや香味油をベースとし、醤油タレなどと組み合わせて作られます。まぜそばはより多様な具材やソースを使用し、パスタのような感覚で楽しめます。

食べ方のコツは、まず全体をよく混ぜ合わせること。麺、タレ、具材を均一に絡ませ、ひと口ごとに異なる味わいの組み合わせを楽しみましょう。

日本油党 渋谷総本部』で提供される『たらこバター釜玉油そば』のオリジナル麺

スープなしでも濃厚な新感覚油そばが気になる人は、こちらもどうぞ。

ラーメンの麺の種類と特徴

ラーメンのおいしさを決める重要な要素の1つが麺です。小麦粉、卵、塩、そして日本独特の『かん水』と呼ばれるアルカリ水を使用して作られる麺は、形状と食感のバリエーションが豊富です。

写真はイメージ

かん水の使用がラーメンの麺独特の黄味がかった色合いと弾力のある食感を生み出しています。この成分により、うどんやそうめんとは明確に異なる風味と噛み応えが生まれ、スープとの絡みもよくなります。

麺の種類 太さ 特徴 適合するスープ
細麺 1~2mm スープとの絡みがいい 豚骨、塩
中太麺 2~3mm バランスのいい食感 醤油、味噌
太麺 3mm以上 麺本来の味を楽しめる つけ麺、まぜそば

麺の縮れ具合も重要な要素です。ストレートの麺はスープと絡みにくく、逆に縮れ麺はスープとの絡みがよいという特徴があります。豚骨ラーメン専門店などでは、麺の硬さを『硬め』『普通』『柔らかめ』から選択でき、お好みの食感で楽しむことができます。

定番のラーメントッピング

ラーメンの楽しみの1つが豊富なトッピングです。基本的なトッピングから地域特有のものまで、さまざまな選択肢があります。これらのトッピングは味わいだけでなく、栄養バランスや見た目の美しさも向上させます。

基本的なトッピング

チャーシューは最も人気の高いトッピングで、豚肉を醤油ベースのタレで煮込んだ柔らかな肉料理です。煮豚タイプと焼豚タイプがあり、それぞれ異なる食感と味わいを楽しめます。最近では低温調理で作られたレアチャーシューも人気を集めています。

銀座はるちゃんラーメン』で提供される『特製中華そば』にのる大量のチャーシュー

メンマはタケノコを発酵させて作る伝統的なトッピングで、コリコリとした食感と独特の風味が特徴です。海苔はスープの香りを引き立て、ネギは薬味として味のアクセントを加えます。モヤシは特に味噌ラーメンによく合い、シャキシャキとした食感が楽しめます。

人気の追加トッピング

味玉は半熟の卵を醤油ベースのタレに漬け込んだもので、濃厚な黄身とプリプリの白身が人気。ナルトは白地に赤いうず巻き模様のかまぼこで、見た目の美しさと上品な味わいが魅力です。

六厘舎』で提供される『特製つけめん』の味玉

野菜系のトッピングでは、コーン、キャベツ、ホウレンソウなどが人気で、栄養バランスを考える人におすすめ。辛いものが好きな人には、辛モヤシ、キムチ、唐辛子などのトッピングが用意されている店舗も存在します。

トッピングの追加料金は通常100円~300円程度で、複数選択することも可能です。初回訪問時は基本のラーメンを味わい、2回目以降に好みのトッピングを追加するのがおすすめの楽しみ方といえるでしょう。

まとめ

日本のラーメンは醤油、塩、味噌、豚骨の4大スタイルを基本として、地域ごとに独自の進化を遂げた奥深い食文化です。つけ麺や冷やし中華、油そばなどのユニークなスタイルも含めると、その選択肢は無限に広がります。

麺の種類や硬さ、豊富なトッピングによって自分好みの一杯を見つける楽しさも、日本のラーメン文化の大きな魅力の1つです。初めての方は醤油ラーメンから始めて、徐々にほかのスタイルにチャレンジしていくことをおすすめします。

日本旅行の際には、ぜひ複数の地域で異なるスタイルのラーメンを体験し、この素晴らしい食文化の多様性と深さを味わってください。きっと忘れられないおいしい思い出となることでしょう。