『今川焼き』の中身の定番は『あんこ』 チョコやカスタードクリームなどバリエーションも豊か

※写真はイメージ

今川焼きは、日本の代表的な和菓子の1つです。

円筒形で厚みのある形が特徴の伝統的なスイーツで、外側はこんがりと焼くことでカリッとした食感を持ち、中には甘いあんこなどが詰まっています。江戸時代から愛され続けているこの庶民的な和菓子は、現在でも祭りの屋台や店で人気を集めています。今川焼きは地域によって大判焼きや回転焼きなどさまざまな名前で呼ばれており、その呼び名の多様性も興味深い特徴の1つです。

現代では従来のあんこだけでなく、カスタードクリームやそのほかの具材を使ったさまざまなバリエーションも楽しまれています。

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今川焼きの基本的な特徴と構造

今川焼きは、小さいパンケーキのような見た目をしている和菓子です。小麦粉、卵、砂糖を主な材料として作られる生地は、パンケーキに似たやわらかな食感があります。しかし、今川焼き全体としては、中に詰められた甘いあんこと生地の風味が合わさって独特の味わいを演出します。

※写真は『今川焼き』のイメージ

今川焼きの外観と食感

今川焼きの外側は金属製焼き型で焼かれることによって美しい茶色に色づき、カリッとした食感を実現しています。一方、内側の生地は非常にやわらかく、ふわふわとした食感が楽しめます。この外はカリッ、中はふわふわという対照的な食感の組み合わせが、今川焼きの大きな魅力となっています。

現代の今川焼のバリエーション

現代では伝統的なあんこだけでなく、カスタードクリームを使った今川焼きも非常に人気があります。さらに、白餡、うぐいす餡、ピーナッツ餡など、さまざまな種類の具材を使った今川焼きも楽しまれています。

これらの多様な具材が使われることであんこが苦手な人でも味わうことができ、今川焼きは現代でも幅広い年齢層に愛される和菓子として進化を続けています。

※写真は『今川焼き』のイメージ

今川焼きの歴史と由来

今川焼きの歴史は江戸時代にまで遡ります。その起源には諸説ありますが、興味深い説を1つご紹介します。この和菓子がどのようにして生まれ、現在まで愛され続けているかを詳しく見てみましょう。

江戸時代発祥の背景

今川焼きは江戸時代の安永年間頃、神田の今川橋付近の店で売られていたのが起源の1つとされています。今川橋に由来する名前を持つこの和菓子は、当時の人々に手軽に楽しめる甘いお菓子として親しまれていました。当時の今川焼きは現在よりも大きく、楕円形に近い形をしていたと記録されています。

明治時代から現代への発展

明治時代に入ると、今川焼きは人々に人気のお菓子として全国に広まりました。露店や屋台で売られるスイーツとして祭りや縁日で販売されるようになり、多くの人々に愛されるお祭り定番グルメとしての地位を確立しました。屋台で売られるだけでなく冷凍技術の発展とともに冷凍今川焼きの販売も始まり、家庭でも手軽に楽しめるようになりました。

地域による呼び名の違いと種類

今川焼きの最も興味深い特徴の1つは、地域によってさまざまな名前で呼ばれていることです。この地域による呼び名の違いは、日本各地でこの和菓子がどのように愛され、独自の発展を遂げてきたかを物語っています。

※写真は『今川焼き』のイメージ

関西地方での呼び名

関西地方では今川焼きを『大判焼き』と呼ぶことが一般的です。この名前は、江戸時代に使用されていた貨幣である『大判』『小判』の形に似ていることに由来しています。また、兵庫県姫路市に本拠を置く企業名に由来する『御座候(ござそうろう)』という呼び名で呼ばれることもあります。

全国各地の名称一覧

今川焼きと同じお菓子を指す名称として、日本各地には実に多様な呼び名が存在します。以下にその一部を紹介します。

  • 回転焼き
  • 円盤焼き
  • 甘太郎焼き
  • おやき
  • ホームラン焼き
  • 黄金焼き
  • 太鼓焼き
  • どりこの焼き
  • ロンドン焼き
  • 黄金饅頭
  • じまん焼き

地域的には北海道では『あじまん』、関東~中部にかけては『今川焼き』か『大判焼き』、近畿地方では『御座候』、九州では『回転焼き』、そのほかの地方では『大判焼き』が主流とされています。地方によってはこのほかにも独自の名前で呼ばれていることもあるようです。

たい焼きとの関係

東京発祥の『たい焼き』は、実は今川焼きから派生したお菓子です。日本で鯛はめでたい魚とされており、縁起物として鯛の形の今川焼きが作られたのが発祥といわれています。魚の鯛の形をした金属製焼き型を使用することで、今川焼きの丸い形から魚の形へと変化させたものだとされています。

たい焼きは今川焼きのバリエーションの1つとして生まれ、現在では独立した和菓子として親しまれています。使用される生地や具材は基本的に今川焼きと同じですが、その愛らしい魚の形により、特に子供たちに人気があります。

たいやき神田達磨』で提供される『たい焼き』

家庭でもできる今川焼きの作り方

実は今川焼きは自宅でも意外と簡単に作ることが可能です。日本旅行の前に今川焼き作りに挑戦してみてもよいでしょう。家庭用の今川焼器を使えば屋台と同等の味わいの今川焼きが作れますが、手に入らない場合はフライパンとシリコン型でも代用可能です。

今川焼きの材料と準備

家庭向けの今川焼きの生地には、以下の材料を使用します。

■材料

  • ホットケーキミックス:300g
  • 卵:Mサイズ3個
  • はちみつ:60g
  • 水:300cc

日本以外では専用のミックス粉が手に入りにくいという問題はありますが、ホットケーキミックスで十分においしい今川焼きが作ることができます。

生地にはちみつを加えることで味に深いコクが加わり、焼き上がりの生地が硬くなりにくくなります。はちみつの代わりに、ガムシロップやメープルシロップを使用することも可能です。

※写真は『今川焼き』のイメージ

今川焼きの調理工程

■調理工程

  1. 生地を混ぜる
    ボウルに卵、水、はちみつを入れ、よく混ぜ合わせます。次に、ホットケーキミックス粉を加えて、さらに混ぜます。
  2. 今川焼器(フライパン)を加熱する
    今川焼器(またはフライパン)を加熱し、薄く油を塗ります。火加減は必ず弱火にしてください。強火で焼くと、外側が焦げるほど加熱しても中が生焼けになってしまうためです。
  3. 生地を流し込む
    加熱した今川焼器(またはシリコン型)の型の深さの3分の1くらいまで生地を流し込みます。
  4. あんこを置く
    生地を流し込んだら、あんこなどの具材を生地の中央に置きます。少し押さえつけ、生地とあんこの高さが同じぐらいになるように整えます。
  5. 焼き具合の確認
    流し込んだ生地の表面がふつふつする程度まで生地を焼きます。
  6. 合わせ面に生地を流す
    片面が焼けたら、もう一方の(合わせる側の)型にも生地を流します。この際は、底が隠れる程度の量で十分です。フライパンの場合は次の工程に進みます。
  7. 2つの生地を合わせる
    焼き上がった生地をもう一方の生地の上に合わせます。「ポン!」と軽く置くような感覚で合わせ、強く押さえつけないでください。強く押さえると生地がはみ出してしまいます。フライパンの場合はシリコン型の8割ほどまで生地を流し込み、再度表面がふつふつしてくるまで加熱したのち、ひっくり返して焼き目が付くまで焼いたら完成です。

今川焼きの栄養価と健康面での注意点

今川焼きはおいしい和菓子ですが、栄養価や健康面についても理解しておくことが大切です。適量を楽しむことで、健康的に今川焼きを味わうことができます。

カロリーと栄養成分

今川焼きの主な栄養成分は炭水化物と糖分が中心で、タンパク質も含まれています。これらの栄養成分は小麦粉生地とあんこに由来するものであり、エネルギー補給には適していますが、糖分が多いため摂取量には注意が必要です。

健康的な楽しみ方

今川焼きは糖分が多いため、一度にたくさん食べ過ぎることは避けたほうがよいでしょう。多くとも1日に1~2個程度を目安として、食事のバランスを考慮しながら楽しむことが大切です。

※写真は『今川焼き』のイメージ

具材による栄養価の違い

使用される具材によって栄養価は変わります。あんこであれば食物繊維や鉄分が含まれていますし、カスタードクリームであれば乳製品由来のカルシウムやタンパク質が含まれています。

まとめ

今川焼きは江戸時代から現代まで愛され続けている日本の代表的な和菓子です。丸い形状と外はカリッ、中はふわふわという独特の食感、そして甘いあんこの組み合わせが多くの人々を魅了しています。

地域による呼び名の違いは今川焼きの興味深い特徴の1つで、大判焼きや回転焼きなどさまざまな名前で親しまれています。現代では伝統的なあんこだけでなく、カスタードクリームなど多様な具材を使った種類とバリエーションも楽しまれており、幅広い世代に愛されています。