抹茶に代表されるように、日本には古くから受け継がれてきた伝統的な飲み物が数多くあります。
かつては家庭や茶席など、限られた場面で楽しまれていたそれらの飲み物も、ペットボトルや缶が普及したことで、今やコンビニや自動販売機で気軽に手に入る存在に。
歴史ある味わいを、もっと身近に楽しめる時代になりました。
この記事では、日本の伝統的なノンアルコール飲料の中から、全国的に親しまれている9種類を取り上げ、それぞれの味の特徴や購入先をご紹介します。

※写真はイメージ
煎茶(せんちゃ)

※煎茶のイメージ
日本茶の中でも特に一般的でなのが緑茶の一種である煎茶です。
日本人が『お茶』という言葉を使った場合、お茶類全般を指して使うこともあれば、煎茶を意味する場合もあるほど、日常的に親しまれています。
煎茶は摘み取った茶葉を蒸して乾燥させたもので、渋みとうまみのバランスがよく、すっきりとした後味が特徴。食事中のお茶としてもぴったりで、和食との相性は抜群です。
冷たいペットボトル入りはもちろん、温かい缶タイプも多く流通しており、1年を通して楽しめます。
コンビニやスーパーマーケットで購入でき、最近ではカフェイン控えめタイプや有機栽培のものなど、選択肢も豊富です。
手軽さと奥深さを兼ね備えた煎茶は、まさに日本における定番のお茶。忙しい毎日の合間に、ほっとひと息つく1杯としておすすめです。
購入先 | 取り扱い |
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コンビニ | ペットボトルもしくは缶に入った状態で豊富に販売されている。 |
スーパーマーケット | ペットボトルや缶に入った煎茶のほか、粉末やティーバッグでも豊富に販売されている。 |
自動販売機 | 稀に『煎茶』という名称で売っているが、見かける機会は少ない。 |
番茶(ばんちゃ)

※写真はイメージ
その年、一番最初に摘まれた茶葉、つまり一番茶を新茶と呼びます。
番茶は、一番茶を刈り取った後に生えてくる芽で作ったもので、地域によって製法や風味に違いがあるのが特徴です。
さっぱりとした味わいで渋みが少なく、口当たりはやさしめ。食後や就寝前など、リラックスしたい時にもぴったりです。
市販のペットボトル商品は少なめですが、茶葉やティーバッグとしてスーパーでは販売されていることがあります。
コンビニや自動販売機での取り扱いは限定的なため、購入の際はスーパーが確実です。
購入先 | 取り扱い |
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コンビニ | ほぼ見かけない。 |
スーパーマーケット | 茶葉やティーバッグとして販売されている場合もあるが、あまり見かけない。 |
自動販売機 | 地域限定商品として販売されていることもあるが、ほぼ見かけない。 |
ほうじ茶

※ほうじ茶のイメージ
ほうじ茶は、煎茶や番茶などの茶葉を強火で焙煎して作られるお茶で、煎ることで茶葉は美しい茶褐色に変化します。
香ばしい風味と、すっきりとした後味で、渋みが少なく、カフェインも玉露や抹茶に比べると比較的控えめです。
食前、食中、食後と、シーンを選ばず飲みやすく、季節を問わず気軽に楽しめます。
また、ほうじ茶はその香りのよさを生かして、スイーツの素材としても人気です。
アイスクリームやプリン、ケーキなどに使われることも多く、和の風味を添える香ばしさが、洋菓子にもよく合います。

※浅草にある『やなぎ茶屋』のほうじ茶のティラミス
例えば、浅草にある『やなぎ茶屋』で提供している、ほうじ茶を使ったスイーツが、ティラミスを組み合わせた『ほうじ茶ティラミス』です。
ほうじ茶の芳ばしい香りが、マスカルポーネクリームの酸味と一緒に食べることで、より引き立ちます。
購入先 | 取り扱い |
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コンビニ | ペットボトルもしくは缶に入った状態で豊富に販売されている。 |
スーパーマーケット | ペットボトルや缶に入ったほうじ茶のほか、茶葉やティーバッグでも豊富に販売されている。 |
自動販売機 | ペットボトルもしくは缶に入った状態で豊富に販売されている。 |
玄米茶

※玄米茶の茶葉のイメージ
玄米茶は、炒った米(玄米)と緑茶をブレンドしたお茶で、芳醇な香りです。
茶葉には煎茶が使われることが多く、緑茶のさわやかさと玄米の香ばしさが絶妙に調和しています。
渋みが少なく飲みやすいため、老若男女問わず人気があり、やさしい風味は、特に食事中にぴったり。
脂っこい料理の後口もすっきりと整えてくれるので、和食はもちろん、洋食や揚げ物とも好相性です。
購入先 | 取り扱い |
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コンビニ | ペットボトルに入った状態で販売されている。 |
スーパーマーケット | ペットボトルや缶に入ったほうじ茶のほか、茶葉やティーバッグでも豊富に販売されている。 |
自動販売機 | 種類は少ないが、売られている場合もある。 |
玉露

※玉露のイメージ
玉露は、日本茶の中でも特に高級とされるお茶で、うまみが強く、まろやかな甘みもあります。
茶葉は収穫前に覆いをかぶせて日光を遮る、被覆栽培(覆い下栽培)によって育てられるため、渋みが抑えられ、深い味わいが生まれるのです。

※被覆栽培(覆い下栽培)のイメージ
煎茶とはひと味違う、口当たりはとろりとやさしく上品な味わいは、高級茶に分類されるのも納得。
希少性が高く、価格帯も高いため、玉露は日常的にペットボトルや缶で流通することはほとんどありません。
スーパーでは茶葉やティーバッグの形で見かけることがありますが、コンビニや自動販売機では基本的に手に入りにくいお茶です。
購入するのであれば、お茶の専門店や茶葉売り場での販売が中心となります。
購入先 | 取り扱い |
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コンビニ | ほぼ見かけない。 |
スーパーマーケット | 茶葉やティーバッグとして販売されている場合もあるが、あまり見かけない。 |
自動販売機 | ほぼ見かけない。 |
抹茶

※銀座にある『中村藤𠮷銀座店』で飲める抹茶
抹茶は、石臼で細かく挽いた緑茶の粉末にお湯を注いで点てて飲む、日本を代表する伝統的なお茶です。
もともとは茶道の世界で欠かせないものだった抹茶ですが、最近では、茶席のような特別な場に行かずとも、本格的な抹茶を味わえる店も増えました。
気軽に、それでいて丁寧に点てた抹茶を味わう時間は、和の心を感じるひと時です。
また、より手軽に楽しめるスティックタイプの粉末抹茶や、抹茶入りドリンクも市販されており、飲み物としてだけでなく、アイスやラテ、ケーキなどスイーツ素材としても幅広く活用されています。
ペットボトルの抹茶飲料は、スーパーや一部のコンビニで取り扱いがあり、抹茶ラテなどの派生商品としても人気です。
茶道用の本格的な粉末の抹茶は、浅草にある抹茶専門店の『雷一茶』のような専門店や、一部のスーパーで購入可能ですが、自動販売機やコンビニでは手に入りません。

※浅草にある『雷一茶』で買える抹茶の粉末
購入先 | 取り扱い |
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コンビニ | 本格的な抹茶は、見かけない。抹茶ラテなどの派生商品が中心。 |
スーパーマーケット | 粉末タイプを取り扱っている場合がある。 |
自動販売機 | 本格的な抹茶は、見かけない。抹茶ラテなどの派生商品が中心。 |
麦茶

※麦茶のイメージ
麦茶は、焙煎した大麦を煮出して作る、香ばしくすっきりとした味わいのお茶です。
カフェインを含まず、身体にやさしい飲み物として、赤ちゃんからお年寄りまで幅広い世代に親しまれています。
暑い季節には冷やして、寒い時期にはホットでも楽しめる、まさに1年中活躍する万能茶が麦茶です。
さわやかな飲み口と香ばしい香りは、食事中の飲み物としてもぴったり。特に夏には定番の飲み物として冷蔵庫に常備されている家庭も多く、学校やオフィス、アウトドアなど、あらゆるシーンに登場します。
ペットボトルや紙パック、ティーバッグタイプなど種類も豊富で、コンビニやスーパーや自動販売機のすべてで手軽に手に入るのも魅力。
ノンカフェイン志向の高まりとともに、近年ますます需要が高まっています。
購入先 | 取り扱い |
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コンビニ | ペットボトルや紙パックに入った状態で販売されている。 |
スーパーマーケット | ペットボトルのほか、ティーバッグや紙パックに入った麦茶など豊富に販売されている。 |
自動販売機 | 冷温対応の缶・ペットボトルなど豊富に販売されている。 |
葛湯(くずゆ)

※葛湯のイメージ
葛湯は、葛粉(くずこ)をお湯で溶いてとろみをつけた、日本の伝統的な飲み物です。
ほんのりとした甘さと、なめらかで温かな口当たりが特長で、身体の芯からじんわりと温まるやさしい1杯。
寒い季節には特に重宝され、風邪を引いた時や、ひと息ついてリラックスしたい時に飲まれることが多いです。
古くは滋養のある飲み物として親しまれてきた葛湯ですが、現在では抹茶や生姜、柚子などを加えたバリエーションも登場しています。
販売は主にスーパーでの個包装パウダータイプが中心で、お湯を注ぐだけで簡単に作れる手軽さも人気の理由。
コンビニや自動販売機ではほとんど見かけませんが、自宅に常備している家庭は少なくありません。
購入先 | 取り扱い |
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コンビニ | ほぼ見かけないが、冬場は稀に取り扱いあり。 |
スーパーマーケット | 個包装の粉末タイプで取り扱いあり。 |
自動販売機 | ほぼ見かけないが、冬場は稀に取り扱いあり。 |
甘酒

※甘酒のイメージ
甘酒は、米や米麹を発酵させて作る、ほんのりとした自然な甘みが特長の日本の伝統的な飲み物です。
ノンアルコールタイプの甘酒は、子どもから大人まで楽しめるやさしい味わいで、近年は健康志向の高まりとともに注目が集まっています。
それもそのはず、甘酒は発酵によって生まれるブドウ糖やビタミンB群、アミノ酸などを豊富に含むことから『飲む点滴』と称されることもある、栄養価の高さ。
身体を温める効果もあるため、寒い時期にぴったりです。
もともとは夏の風物詩として楽しまれ、近年では正月に神社でふるまわれるようになり、現在ではペットボトルや紙パックでも1年をとおして手軽に買えるようになりました。
購入先 | 取り扱い |
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コンビニ | 紙パックや缶に入った状態で販売されている。 |
スーパーマーケット | 紙パックや缶に入った状態で販売されている。 |
自動販売機 | 冬場限定や地域限定で取り扱いもあるが、ほぼ見かけない。 |
古くから人々の暮らしに寄り添ってきた日本の伝統的な飲み物は、現代においてもその魅力を失うことなく、日常の中に自然と息づいています。
煎茶やほうじ茶のように食事とともに楽しむお茶から、甘酒や葛湯のように体をいたわるやさしい1杯まで、その種類と味わいは実に多彩。
かつては特別な場で味わっていたものも、今ではコンビニやスーパー、自動販売機で気軽に手に入るようになりました。
忙しい毎日の中に、ほっとひと息つける時間を与えてくれる和の飲み物たち。ぜひ気になるものから手に取り、現代のライフスタイルの中で改めてそのおいしさと奥深さを味わってみてはいかがでしょうか。