『ミュージアムの街』とも呼ばれる東京都台東区の上野。その理由は、上野屈指の観光スポットとして知られる、上野恩賜公園(以下、上野公園)にあります。
上野公園の敷地内には、博物館や美術館が点在し、すべてが徒歩圏内。ミュージアム巡りをするにはうってつけです。
上野公園にある博物館・美術館
上野公園にあるミュージアムのバリエーションは豊富。
歴史や、科学技術の発展を知ることができたり、日本や西洋の美術作品に触れたり、訪れる人の興味関心にあったミュージアムが、必ず見つかることでしょう。
国立科学博物館

国立科学博物館の左側に設置されている実物大のシロナガスクジラ像が目印
国立科学博物館は、自然史・科学技術史に関する、国立の総合科学博物館としては日本唯一の博物館。1877年に創立された、日本で最も歴史のある博物館の1つです。
日本館と地球館の2つの建物で構成された国立科学博物館では、標本・資料あわせて約2万5千点を展示。
『日本列島の自然と私たち』をテーマにした日本館は、日本列島の自然と成り立ち、生き物たちの進化、日本人の形成過程、そして人類と自然のかかわりの歴史を解説しています。

日本館の展示品
地球館のテーマは『地球生命史と人類』。地球上の生物の生命活動、地球環境の変動の中で生命が誕生と絶滅を繰り返した過程、そして人類の知恵の歴史が展示内容です。
大型模型や標本、映像を取り入れた展示は、見ごたえ十分。多様な観覧体験ができ、知的好奇心をくすぐる仕掛けが館内のいたるところに散りばめられています。
また、特別展会場の地下1階では、年に3回程度、特別展を開催。
テーマ設定や展示方法を工夫し、一般の方にも分かりやすい展示は、ユニークな着目点が話題になることも珍しくありません。

地球館の展示品
国立科学博物館の注目展示:見て、触って楽しめる体験型展示が充実
国立科学博物館の常設展示品は、約2万5千点。
中でも、日本列島の生い立ちを解説する日本館の3階北翼エリア、展示室『日本列島の生い立ち』に展示されている、フタバスズキリュウの復元骨格は必見です。
展示室に足を踏み入れた瞬間、目に飛び込んでくるフタバスズキリュウの復元骨格は迫力満点。
かつて大海原を泳いでいたであろうフタバスズキリュウの姿を思い浮かべながら、観覧できます。

フタバスズキリュウの復元骨格
もう1つ、国立科学博物館を訪れた際に観覧したいのが、本物の忠犬ハチ公のはく製です。
渋谷のシンボルとして今なお親しまれているハチ公は、秋田犬と呼ばれる、秋田県原産の日本犬の一種。
日本館の2階、北翼エリアで『伴侶動物としての犬』として、ほかの日本犬とともに展示されています。

ハチのはく製
国立科学博物館の施設情報
施設名 | 国立科学博物館 こくりつかがくはくぶつかん National Museum of Nature and Science |
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住所 | 東京都台東区上野公園 7-20
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電話番号 | 050-5541-8600(ハローダイヤル) |
開館時間 | 9:00 ~17:00(入館は閉館の30分前まで) ※特別展の開館時間は、各展覧会の公式ホームページを確認 |
休館日 | 毎週月曜日(祝日の場合は火曜日が休館日)、年末年始 |
入館料 | 一般・大学生/630円 高校生(高等専門学校生含む)以下・65歳以上/無料 ※特別展は別途料金 |
パンフレット | 日本語・英語・中国語・韓国語・タイ語に対応 |
作品音声ガイド | 日本語・英語・中国語・韓国語に対応 |
東京国立博物館
6つの展示館を有し、日本ひいては東洋の文化財を広く展示している東京国立博物館。
約12万点ある所蔵品は、国宝89件、重要文化財650件と、日本有数のコレクションを誇ります。

東京国立博物館の本館
特筆すべきは展示替えの多さで、その回数は年間約400回。
日本美術を展示する本館、日本の考古遺物を展示する平成館、東洋の美術作品に特化した東洋館、貴重な法隆寺献納宝物を観覧できる法隆寺宝物館を筆頭に、ほぼ毎週、どこかの展示室で展示替えが行われています。

東京国立博物館の本館10室に展示されている浮世絵作品
所蔵品は、購入や寄贈によりは毎年増えており、いつ訪れても新しい展示品と出会えるのは、東京国立博物館ならではです。

平成館の考古展示室に展示されている埴輪

東洋館の1室に展示されている中国の仏像
日本文化への理解を深める体験型コーナーも趣向をこらしたものばかり。
本館特別4室の浮世絵の体験型コーナーでは、浮世絵を大量に生産する方法として発展した木版画の仕組みを、はんこで体験できます。
完成した浮世絵は持ち帰ることができ、幅広い年代から人気の体験型コーナーです。

完成した浮世絵は持ち帰ることができる
東京国立博物館の注目展示:日本の国宝を間近で鑑賞
膨大な所蔵品を誇る東京国立博物館の中でも、注目展示と呼べるのが、本館2階にある展示室『国宝室』。
東京国立博物館が所蔵、もしくは寄託されている国宝から、選りすぐりの作品が展示されています。

東京国立博物館の本館2室、国宝室の展示風景/© 東京国立博物館
貴重な国宝が観覧できるだけでなく、展示品のサイズに対してかなり余裕をもたせた観覧スペースが印象的。
ゆったりとした空間で心静かに鑑賞できるようにと、『国宝室』は作品のサイズに対して、余裕をもたせた部屋の設計にしてあるといいます。

国宝室の室内
広大な敷地と、膨大な展示品を誇る東京国立博物館ですから、観覧にかかる時間もかなりのもの。最低でも4時間は見ておくのが、おすすめです。
余裕があれば、同じ敷地内にある庭園を訪れるのもいいでしょう。四季折々の植物、日本のわびさびを感じる家屋に触れることができます。

春の時期の庭園/© 東京国立博物館
東京国立博物館で買えるミュージアムグッズ
東京国立博物館には、ここでしか手に入らない限定のグッズが目白押し!
2,000種類という、展示品と同じくらい豊富な数がそろっており、どれも魅力的です。

『八橋蒔絵螺鈿硯箱缶入クッキー』 1,080円(税込み)
こちらの『八橋蒔絵螺鈿硯箱缶入クッキー(やつはしまきえらでんすずりばこかんいりくっきー)』は、ミュージアムショップの中でも特に人気。
尾形光琳による、国宝『八橋蒔絵螺鈿硯箱』をクッキー缶にアレンジした、芸術的かつ遊び心あふれる1品です。

『ミニチュア屏風 花下遊楽図屏風』 9,900円(税込み)
旅のお土産を、自宅のインテリアとして飾りたい人におすすめなのが、ミニチュア屏風。
桜をあしらった『会津塗 盃』は、東京国立博物館でしか手に入りません。

『会津塗 盃 四季花鳥図巻』 9,900円(税込み)~
日本の伝統工芸と東京国立博物館がコラボしたグッズも、数多くそろっています。
福島県会津地方の伝統工芸品である『会津塗』の盃は、もはや芸術作品といえる美しさ。
盃の絵柄は『会津塗』の絵師が、一つひとつ手描きで描いており、全部で5種類用意されています。
東京国立博物館の施設情報
施設名 | 東京国立博物館 とうきょうこくりつはくぶつかん Tokyo National Museum |
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住所 | 東京都台東区上野公園 13-9
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電話番号 | 050-5541-8600(ハローダイヤル) |
開館時間 | 火~木・日曜日9:30~17:00(入館は閉館の30分前まで) 金・土曜日9:30~20:00(入館は閉館の30分前まで) ※特別展・企画展は別途 |
休館日 | 毎週月曜日(祝日の場合は火曜日が休館日)、年末年始 |
入館料 | 一般/1000円 大学生/500円 高校生以下および満18歳未満、満70歳以上/無料 ※特別展・企画展は別途観覧料 |
パンフレット | 日本語・英語・中国語(繁体字、簡体字)・韓国語・スペイン語・ドイツ語・フランス語に対応 |
音声ガイド | 日本語・英語・中国語・韓国語に対応 |
国立西洋美術館
西洋美術全般を対象とする唯一の国立美術館である国立西洋美術館が開館したのは1959年。
きっかけは、明治時代に活躍した実業家、松方幸次郎氏でした。

© 国立西洋美術館
「若い画家たちに本物の西洋美術を見せたい」という思いのもと、松方氏が収集した美術作品の総数は1万点にも及ぶといわれています。
国立西洋美術館のコレクションは、当時、松方氏が収集した美術作品が基礎となっており、2025年時点で所蔵している作品数は6,000点超。
中世から20世紀にかけての西洋絵画、ロダンを中心とするフランス近代彫刻、さらに素描、版画、写本、工芸と多岐にわたります。
国立西洋美術館の注目展示:美術の教科書を見ているかのような名品ぞろい
オーギュスト・ロダンの『考える人(拡大作)』を筆頭に、西洋美術に関する所蔵作品の内容は、日本随一。
クロード・モネの『睡蓮』のほか、2018年に国立西洋美術館が発表し話題を呼んだ、同じくモネの『睡蓮 柳の反映』も所蔵しています。

© 国立西洋美術館
また、ペーテル・パウル・ルーベンスの『眠る二人の子ども』、フィンセント・ファン・ゴッホの『ばら』、ジョアン・ミロ『絵画』と、同美術館のコレクション内容は、美術史において欠かせない名作ばかり。
これら常設展示作品は、年数回の頻度で展示替えを行っています。
所蔵作品の充実ぶりだけでなく、建造物そのものも芸術作品といえる国立西洋美術館。
20世紀を代表するフランスの建築家、ル・コルビュジエ(1887-1965)が設計を手掛けています。
2016年7月に世界文化遺産に登録された、由緒ある建物です。

© 国立西洋美術館
国立西洋美術館で買えるミュージアムグッズ
国立西洋美術館では、所蔵作品である『考える人』やゴッホの作品をモチーフにしたグッズが豊富です。

© 国立西洋美術館/『Tシャツ 考える人』 3,350円(税込み)
こちらは、国立西洋美術館のオリジナルデザインである『考える人』のTシャツ。
色は白と黒の2色あり、サイズはMサイズとLサイズで展開しています。

© 国立西洋美術館/『靴下シースルー ばら・緑』 1,540円(税込み)
ゴッホの名画『ばら』の靴下は、シースルー素材と組み合わせた、繊細なデザイン。
足元にアクセントを持たせたい時にぴったりなこちらの靴下は、モネの『睡蓮』をモチーフにしたデザインの用意があります。
国立西洋美術館の施設情報
施設名 | 国立西洋美術館 こくりつせいようびじゅつかん The National Museum of Western Art |
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住所 | 東京都台東区上野公園7-7
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電話番号 | 050-5541-8600(ハローダイヤル) |
開館時間 | 火~木・日曜日9:30~17:30(入館は閉館の30分前まで) 金・土曜日9:30~20:00(入館は閉館の30分前まで) |
休館日 | 毎週月曜日(休日・祝日の場合は開館。翌平日が休館日)、年末年始 |
入館料 | 一般/500円 大学生/250円 高校生以下および満18歳未満、満65歳以上、心身に障害のある方(付添者1名含む)/無料 ※企画展は別途観覧料 |
パンフレット | なし |
音声ガイド | 日本語・英語・中国語・韓国語に対応 |