和の趣と甘い香りに誘われて、街歩きの途中にふらりと立ち寄りたくなる和菓子店。
イートインスペースまで併設されていたら、ちょっとひと息つきたくなるものです。
職人の技が光る上生菓子や、季節を映したあんみつ、抹茶とともにいただく和スイーツの数々。東京には、見て美しく、食べておいしい和菓子と出会える店が点在しています。
MATSUNARI-まつなり-(六本木):おはぎ
六本木ヒルズのノースタワーに店舗を構える、『MATSUNARI-まつなり-』はおはぎの専門店。
炊き上げたもち米を丸めて、あんこやきな粉をまとわせた昔ながらの和菓子であるおはぎが、ここでは日常をちょっと豊かにしてくれる存在です。

『MATSUNARI-まつなり-』の外観
店内では常時6種類のおはぎを提供しており、とりわけ人気なのが『つぶ餡』と『こし餡』。
『つぶ餡』は、店舗で炊き上げた自家製あんこを使用しており、大粒の『丹波大納言小豆』を使い、豆の身と皮がほどよく残る食感が魅力です。

(前左)『つぶ餡』、(前右)『こし餡』、(後ろ)『みどり』 各350円(税込み)
『こし餡』は、90年以上の歴史を持つ『木下製餡』に特注したなめらかなあんこが主役。
抹茶とヨモギを練り込んだ『みどり』は、ほんのりとした苦みがアクセントを添えます。
イートインでは、おはぎと一緒に『抹茶ラテ』を注文するのもおすすめ。おはぎのみでも、ドリンクとセットでも楽しめるので、気分に合わせて選べます。

『抹茶ラテ』 単品:680円(税込み)/セット:メニュー代+300円(税込み)
舟和(浅草):ようかん
1902年に創業し、日本各地に店舗を展開する老舗和菓子店の『舟和』。
浅草のにぎやかな商店街の一角に本店を構える『舟和』では、2~3階の喫茶スペースで、店自慢の和菓子をゆったりと味わうことができます。

『舟和』の本店の喫茶スペース内観
看板メニューは、創業当時から愛され続けている『あんこ玉』。甘く煮たあんこのペーストを丸め、寒天でコーティングしたひと口サイズの和菓子です。
味は全部で6種類。定番の『あずき』はなめらかなこしあん、ほかの『白インゲン』『抹茶』『いちご』『コーヒー』『みかん』は、白餡をベースにそれぞれの風味を加えています。

『あんこ玉』 各130円(税込み)
あんこが主役ながら甘さは控えめで、どれも上品な後味。小ぶりなサイズ感も手伝って、「もう1個」とつい手が伸びてしまいます。
1個から気軽に注文でき、ドリンクとセットで楽しむのもおすすめです。老舗の味をカジュアルに堪能してみてください。
さらにもう1つ、喫茶スペースで味わえる看板メニューが『焼芋ようかんセット』です。

『焼芋ようかんセット』 1,200円(税込み)
『舟和』を代表する逸品である『芋ようかん』を、こんがりと表面を焼いて作る『焼芋ようかん』のほか、抹茶、最中、バニラ風味のアイスが付いたお得なセット内容。
『焼芋ようかん』は、添えてあるバターと一緒にいただくと、表面の香ばしさもあいまって、濃厚な甘みを堪能できます。
ぜひこちらも『あんこ玉』とともに召し上がれ!
麻布野菜菓子(麻布十番):最中(もなか)
『野菜で作ったちょっとだけ贅沢なお菓子』をコンセプトに展開する『麻布野菜菓子』は、素材の個性を生かしたユニークな和菓子がそろう注目のブランド。

『麻布野菜菓子』の内観
併設のイートインスペースでは、季節の野菜を使ったスイーツを楽しめますが、同店を訪れたらぜひチェックしたいのが、店頭で販売されている看板商品『野菜最中』です。
最中とは、もち米から作ったパリッと香ばしい皮に、甘いあんこを挟んだ日本の伝統的な和菓子。
『麻布野菜菓子』の『野菜最中』は、季節限定のもののほか、『黒胡麻と木の芽』『薩摩芋(さつまいも)』『蓮根(れんこん)』を用意し、いずれも素材の自然な甘さとコクが楽しめます。

(左奥)『野菜最中 黒胡麻と木の芽』、(右奥)『野菜最中 蓮根』、(手前)『野菜最中 薩摩芋』 各356円(税込み)
上品でやさしい味わいは、年代を問わず喜ばれるはず。個包装された見た目もかわいらしく、手土産や贈り物にもおすすめです。
イートインではかき氷やケーキを楽しみ、お土産に『野菜最中』を買って帰り、おうちでゆっくり味わってみてはいかがですか。
今菓子司 銀座凮月堂(銀座):あんみつ
海藻から作られる寒天にあんこを添えた、昔ながらの和菓子が、あんみつ。
銀座にある『今菓子司 銀座凮月堂』では、この伝統的な1品を、職人が目の前で一つひとつ丁寧に仕上げてくれます。

『抹茶クリームあんみつ(ドリンク付き)』 2,700円(税込み)
抹茶とプレーンの2色の白玉、彩り豊かな季節のフルーツ、香り高い宇治抹茶アイスが、美しく器の上に盛りつけられていく様子は、まさに目にもおいしいひと時。
素材はすべて厳選されており、上品な味わいと豊かな風味が広がります。
茹でたての白玉のもっちり感、抹茶アイスのほろ苦さ、フルーツの甘酸っぱさが重なり、ひと口ごとに新たなおいしさに出会える逸品です。

『抹茶クリームあんみつ』制作工程
まほろ堂 蒼月(世田谷):上生菓子
まるで芸術品のように繊細な美しさをもつ上生菓子。世田谷にある『まほろ堂 蒼月』では、四季折々の風景や植物をモチーフにした上生菓子を、併設のテーブル席でゆったりと楽しむことができます。

『まほろ堂 蒼月』の外観
茶席などでも親しまれてきたこの和菓子は、主にあんこをベースに作られ、抹茶などの苦味のあるお茶と合わせることで、甘みとのバランスが絶妙に。
目で楽しみ、舌で味わう、季節の贅沢を感じさせてくれるひと時です。
訪れるたびに違う表情を見せる菓子の世界に、思わず見とれてしまいます。

『まほろ堂 蒼月』の和菓子
五感で味わう和菓子の世界は、どの店にもそれぞれのこだわりと美しさがあり、訪れるたびに新たな発見があります。
丁寧に作られた甘味を、落ち着いた空間でいただく時間は、日常のなかにそっと寄り添う、特別な時間を運んでくれるはずです。
※メニューの内容や料金、店舗情報などは2025年8月時点のものです。