和食を目的に日本を訪れる外国人観光客が年々増えていますが、その食体験をさらに深くしてくれるのが、日本で古くから愛されてきた日本酒や本格焼酎です。
日本の酒文化に触れ、学び、味わうことができる場所が、東京の港区にある『日本の酒情報館』です。

見て、触れて、味わう。五感で楽しむ酒の情報拠点
『日本の酒情報館』は、日本酒造組合中央会が運営する、日本酒、本格焼酎、泡盛、そして調味料としても知られるみりんの魅力を、世界中の人々に伝えるための施設です。
日本酒造組合中央会には、日本酒メーカー約1,300社、焼酎や泡盛メーカー約300社、合計で約1,600社が加盟しています。まさに、日本の酒を語る上で欠かせない母体といえる存在です。

『日本の酒情報館』の外観
館内には、全国各地の蔵元から集められた日本酒や本格焼酎が常時100銘柄以上取り揃えられており、それらを1杯100円(税込み)から試飲することができます。
酒のラインナップは月ごとに入れ替えられるため、一期一会の出会いもまた、この施設ならではの魅力です。

『日本の酒情報館』の内観
日本酒と本格焼酎、それぞれの美学と哲学
日本酒は、日本人の主食である米を原料にした醸造酒です。

館内に飾られている樽酒/p>
低温から高温まで、温度帯によって表情を変えるのが特徴で、5〜15度で提供されるものは『冷酒』、20度前後の常温なら『冷や』、40度は『ぬる燗』、50度を超えると『熱燗』と呼ばれます。
季節や料理、そしてその時の気分に合わせて、同じ酒でも異なる楽しみ方ができるのが、日本酒の奥深さです。
一方の本格焼酎は、日本独自の蒸留酒。
米、麦、芋、黒糖、蕎麦、栗など、多様な原料を用い、米や麦から造られた麹と主原料を合わせて発酵させた後、蒸留して仕上げます。

さらに、沖縄で造られる米麹ベースの蒸留酒は『泡盛』と呼ばれ、独自の進化を遂げてきました。
地域によって異なる酒の形は、まさに風土と文化の結晶といえるでしょう。
館内では、こうした日本酒や本格焼酎の製造過程を紹介する映像が上映されており、英語版も用意されています。言葉の壁を越えて、日本の酒造りの美学に触れられる構成です。
風土と食が育てる、酒という文化

新酒ができた合図として酒蔵の前に吊るされる『酒林(さかばやし)』と呼ばれる杉玉
酒の味わいを形づくるのは、蔵の技術だけではありません。
酒蔵が位置する土地の気候や風土、そしてその土地で食べられている料理とも深く結びついているのです。
海沿いの地域を例にあげると、魚介類に合うように、舌ざわりが滑らかですっきりとした日本酒が好まれます。
一方で、山間部では、川魚や猪などを濃い味付けで調理する習慣があり、それに合わせて、コクやうまみの強い酒が造られてきました。
「その土地で食べられる料理との相性を考えると、お酒の個性にも納得がいくと思います」
そう語ってくれたのは、館長の今田さん。館内には、各地の酒蔵を紹介するパンフレットがずらりと並んでいます。
「ぜひ手に取ってご覧いただき、旅の目的地を選ぶきっかけにしていただけたら」と、来館者へのメッセージを添えてくれました。
香りと余韻を比べる、飲み比べ体験

『SAKE 101 セット』 900円(税込み)
日本酒をより深く知るためにおすすめなのが、代表的な5タイプの日本酒を飲み比べできる有料のセットです。
香り、味わい、余韻にいたるまで、すべてに個性があり、実際に飲み比べてみることで、その違いが明確になります。

また、全国各地の伝統的な酒器を使って味わう体験も提供している点が、『日本の酒情報館』ならでは。
独特な形状の酒器には、地域の歴史や文化的背景が色濃く反映されており、酒の楽しみ方をさらに深めてくれます。

沖縄の泡盛『古酒(くーす)』を飲むための酒器
気に入った酒や酒器は、その場で購入することも可能です。旅の記念や贈り物としても、特別な意味を持つことでしょう。
酒の周辺に広がる、遊び心あるモノたち
『日本の酒情報館』では、酒にまつわるユニークなグッズも販売されています。
例えば、飲み終えた酒瓶の栓をそのままキーホルダーにできるアイテム。キーホルダーを1つ購入すると、好きな栓を1つ無料で選ぶことができます。遊び心と実用性が融合した、酒好きにはたまらないグッズです。

『さけぶたホルダー』 660円(税込み)

『日本酒トランプ(日本語・英語・中国語あり)』 1,650円(税込み)
酒は、単なる嗜好品ではありません。食と結びつき、土地の文化と歴史を語り、記憶に残る時間を演出する存在です。
『見て・触れて・体験して』、日本の酒をもっと好きになる場所が『日本の酒情報館』。
あなたの次の旅に、この酒との出会いを加えてみてはいかがでしょうか。
施設情報
施設名 | 日本の酒情報館 にほんのさけじょうほうかん Japan Sake and Shochu Information Center |
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住所 | 東京都港区西新橋1-6-15 日本酒造虎ノ門ビル 1階
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アクセス |
虎ノ門駅9番出口から徒歩2分
内幸町駅A4a出口から徒歩3分
霞ヶ関駅C3出口から徒歩4分
新橋駅(SMB)日比谷口から徒歩8分
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電話番号 | 03-3519-2091 |
開館時間 | 10:00~18:00 |
閉館日 | 土日・祝日、年末年始 ※不定休あり |
ウェブサイト | https://www.japansakekyo.com/ |
※メニューの内容や料金、店舗情報などは2025年9月時点のものです。