東京都千代田一番地に位置する『皇居』は、天皇陛下のご居所であり、かつて江戸城が築かれ、将軍の住まいでもあった場所です。
現在では、その敷地の一部が一般に無料公開されており、誰でも見学できます。
最寄りの門から、『皇居東御苑』の敷地内へ
『皇居東御苑』は、面積約21万平方メートルという広大な敷地を持つ庭園です。
入口は複数ありますが、東京駅、丸の内や大手町エリアから向かう場合は『大手門』からの入園が便利です。

大手町方面から見た『大手門』
入園料は無料ですが、入口では手荷物検査が行われます。スムーズに入園するためにも、事前の準備をしておきましょう。
『大手門』は、日本の城郭における正門にあたる門で、防衛のために門の上に建物を設けた『櫓門(やぐらもん)』という様式が特徴です。

『櫓門』
入場に際しての注意点として、敷地内には自動販売機の横にある空きボトル用を除き、ゴミ箱が設置されていません。
また、コインロッカーなどの荷物預かり施設もないため、大きな荷物は宿泊施設や大手町駅や東京駅のロッカーに預けてから訪れるとよいでしょう。
敷地内には、門の近くを中心に複数のトイレが設けられています。広い園内を歩く前に、利用しておくと安心です。
『大手門』を入ってすぐの場所には、案内看板が設置されています。QRコードを読み取ることで、スマートフォンに『皇居東御苑』のイラストマップが表示される仕組みです。

イラストマップを読み込める看板
また、園内に2か所ある売店では、紙のパンフレットの配布も。日本語、英語、韓国語、中国語の4か国語に対応しており、手元に地図を持って散策したい人に便利です。

日本語、英語、韓国語、中国語の4か国語に対応した紙のパンフレット
豊かな自然と広大な敷地を散策
『皇居東御苑』は、旧江戸城の『本丸』『二の丸』『三の丸』の一部を『皇居附属庭園』として整備し、1968年から一般公開されているスポットです。

東京都心とは思えないほど、園内は豊かな自然にあふれています。
各所に設置された案内板には、見ごろの植物や見どころが丁寧に解説されており、散策の参考になります。

敷地の面積はおよそ21万平方メートル。広々とした園路を歩いていると、すぐ隣がビル群の大手町エリアであることを忘れてしまいそうです。

二の丸雑木林
庭園として整備されたエリアが多い一方で、『二の丸雑木林』のような自然に近い植生も楽しめます。
こちらは、昭和天皇のご発意により武蔵野の雑木林を再現する形で整備されたエリア。庭園とは一味違った、素朴な自然を味わうことができます。

『二の丸庭園』
特に注目したいのが『二の丸庭園』。こちらは、江戸時代・第九代将軍家重の時代の庭絵図面をもとに復元された日本庭園です。
池を中心に構成された『池泉回遊式庭園』で、滝や橋、美しい鯉が泳ぐ池が訪れる人の目を楽しませてくれます。

池の水面に映る木々の姿もまた風情があり、季節ごとに異なる表情を見せてくれるのが魅力です。
園内には、江戸時代の面影を今に伝える建物も点在しています。

『諏訪の茶屋』
その1つが『諏訪の茶屋』。
『二の丸庭園』の中に佇むこの建物は、もともと別の場所にあったものを、昭和43年の整備の際に移築したものです。1912年に、明治天皇の命によって再建されました。
江戸城のスケール感を歩いて感じる
皇居の敷地は、もともと江戸城があった場所。現在でも、その名残を随所に見ることができます。

『天守台』
ただし、敷地の外からはその全貌をうかがい知ることは難しく、実際に門をくぐり、敷地内を歩いてこそ感じられる歴史があります。
江戸城の中心であった『天守閣』は、過去に三度建築されましたが、1657年の『明暦の大火』により焼失し、それ以降は再建されることはありませんでした。
現在では、かつて天守が建っていた『天守台』が残されています。

『天守台』へと続く道の途中には、当時の江戸城の構造を解説する案内板が設置されており、目の前に広がる『大芝生』とあわせて、当時の城郭のスケールを実感することができます。
『天守台』の上は小さな休憩所として整備されており、ベンチが設置されています。散策の合間にひと息つく場所としてもぴったりです。

その近くにある『桃華楽堂』は、1966年に音楽好きで知られる香淳皇后(昭和天皇の皇后)の還暦を記念して建てられた音楽ホール。八角形の独特な外観と、美しい壁面装飾が印象的な建物です。

『桃華楽堂』
さらに南西側には、現存する遺構の中で最も古いとされる『富士見櫓』がそびえています。
この櫓台の石垣は、築城の名手・加藤清正によって築かれたと伝えられており、当時の高度な石垣技術を今に伝えています。

『富士見櫓』
その名の通り、かつてはこの『富士見櫓』から富士山を望むことができたそうです。
天守閣が存在しなかった時代には、将軍がここから品川の海や両国の花火を眺めたとも言われています。
本丸休憩所の隣には、江戸城天守の復元模型が展示されています。

江戸城天守の復元模型が展示されている施設外観
これは、江戸城の詳細な築城資料をもとに2020年に制作、一般公開されたもので、当時の姿を学ぶことができる貴重な資料です。
展示施設は、『皇居東御苑』の開園日の午前9時から閉園時間の30分前まで見学できます(入場は閉園時間の45分前まで)。

江戸城天守の復元模型
なお、園内の売店も見逃せません。ポストカードやしおりなどのほか、菊の御紋が入った本革製の財布といったユニークなお土産も販売されています。
リーズナブルな価格も魅力で、知る人ぞ知る人気アイテム。

(左)『皇居財布(二つ折り)』 2,500円(税込み)、(右)『皇居財布(がま口)』 4,500円(税込み)
また、週に2回、公益財団法人菊葉文化協会によるガイドツアーも開催されています。
英語対応のツアーも用意されているため、詳細は公式ホームページで確認するのがおすすめです。
東京の中心地にありながら、豊かな自然と歴史を感じることができる『皇居東御苑』。次に東京を訪れる際には、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
施設情報
施設名 | 皇居東御苑 こうきょひがしぎょえん East Gardens of the Imperial Palace |
---|---|
住所 | 東京都千代田区千代田1-1
|
アクセス |
大手町駅C13a出口から徒歩5分
二重橋前駅6番出口から徒歩10分
東京駅(TYO)丸の内口から徒歩15分
|
電話番号 | 03-3213-2050 |
開園時間 | 3月1日~4月14日/9:00~17:00(入園は閉園の30分前まで) 4月15日~8月31日/9:00~18:00(入園は閉園の30分前まで) 9月1日~9月30日/9:00~17:00(入園は閉園の30分前まで) 10月1日~10月31日/9:00~16:30(入園は閉園の30分前まで) 11月1日~2月末日/9:00~16:00(入園は閉園の30分前まで) |
閉園日 | 月・金曜日(天皇誕生日以外の、祝日・休日の場合は開園。翌平日が閉園日) |
入園料 | なし |
ウェブサイト | https://www.kunaicho.go.jp/event/higashigyoen/higashigyoen.html |
その他 |
|
※記事中の情報は2025年9月時点のものです。