東京の奥多摩エリアに位置する標高929メートルの御岳山(みたけさん)は、古くから山岳信仰の対象として親しまれてきた場所です。
山頂付近には1,300年以上の歴史を誇る『武蔵御嶽神社』が鎮座し、多くの参拝客やハイカーが訪れます。
加えて、季節ごとに表情を変えるトレッキングコースや、自然の息吹を感じられる森、そして賑やかな参道の散策など、御岳山の楽しみ方はさまざま。
それでいて、新宿から電車で約2時間と、アクセスのよさも魅力です。
ケーブルカーで行く、御岳山のアクセスガイド
御岳山への旅は、JR青梅線の御嶽駅から。
新宿からは、休日に運航している奥多摩行きの『ホリデー快速』を使うと便利かつ移動時間も短く済みます。
駅には御岳山周辺では唯一のコインロッカーの用意も。重い荷物はここで預け、身軽な状態で山を目指しましょう。

滝本駅まではバスで10分ほど
御嶽駅からは『ケーブル下』行きのバスに乗り、ケーブルカーの滝本駅を目指します。運賃は片道600円(税込み)、往復なら1,200円(税込み)です。
滝本駅のすぐ横には登山道もあり、徒歩でケーブルカーの終着地点である御岳山駅まで登ることもできます。
歩く場合は約1時間半かかりますが、自然をじっくり楽しみたい人にはぴったりのルートです。

ケーブルカー
ケーブルカーの乗車時間は6分。平均勾配22度の急斜面を登り、途中では単線ならではのすれ違いシーンが楽しめます。対向車両には手を振る旅人の姿も。
徐々に終点が近付き、奥多摩の山並みが視界いっぱいに広がります。

ケーブルカーからの景色は迫力満点
御岳山駅を降りると、ベンチや飲食店が並ぶ展望スペース、御岳平が広がります。
近くには御岳山の案内図やエリアマップも設置されており、これからのルートを確認するのに便利です。

英語版のエリアマップも配布
山頂に鎮座する『武蔵御嶽神社』までは徒歩でおよそ25分。
今回は参道を少し外れ、夏に見頃を迎える高原の花、レンゲショウマの群生地を抜けるコースを歩きます。

犬と参拝できる、絶景の神社
御岳平から山道とは逆の道に進むと、現れるのは日本一とも称されるレンゲショウマの群生地。
取材時は残念ながらまだつぼみでしたが、毎年8月には開花ピークを迎えて多くの人で賑わいます。

階段の左右に広がるのはレンゲショウマ
群生地を抜けると子授けや安産、長寿の神様を祀る社『産安社』へ。
境内にはスギとヒノキの巨木が立ち、凛とした空気が漂います。

『産安社』
さらに進むと、食事処や宿が立ち並ぶエリアに到着。
ビジターセンターもあり、御岳山の自然や歴史を知ることができます。

『武蔵御嶽神社』までは急な階段が続きますが、道は舗装されているため、参拝だけならスニーカーでも問題ありません。
しかし、ケーブルカーやバスを使わずに徒歩で御岳山を目指す場合や、参道から外れて山道を進む場合は登山用のトレッキングシューズだと安心です。

犬を連れて上る登山者の姿が多いのも、御岳山ならではの光景。
実は、日本の神社の多くは境内に犬や猫などの四足動物を入れることを禁じています。
しかし『武蔵御嶽神社』では、「白い狼が道に迷った日本武尊(やまとたける)を導き、山を守る大口真神となった」という伝説から、犬が信仰の対象に。
そのため、飼い犬と一緒に参拝と登山が楽しめるという珍しい場所なのです。
ケーブルカーにも犬専用の乗車スペースがあり、行きも帰りも一緒に過ごせます。

『武蔵御嶽神社』
『武蔵御嶽神社』の創建は西暦736年。
東大寺の大仏造営にも貢献したとされる高僧の行基(ぎょうき)がこの地にお堂を建て、蔵王権現を祀ったことが始まりとされます。
境内から望む景色はまさに絶景。急な階段を登った疲れも一瞬で吹き飛びます。

『武蔵御嶽神社』からの景色
苔と清流がつくる御岳山のオアシス『ロックガーデン』へ
『武蔵御嶽神社』で参拝した後は、御岳山名物のロックガーデンを目指します。
ロックガーデンに向かう道は人気のトレッキングコースで、苔むした大岩と清流がつくる景色は、奥多摩でも屈指の美しさです。

長尾平
案内板に従って緩やかな山道を進むと、長尾平に到着。
周囲は木々に囲まれながらも見晴らしがよく、茶屋や展望台が整備され、ハイカーたちの憩いの場になっています。

長尾平からの景色
ベンチに腰掛けると、秩父や奥多摩の山並みが幾重にも重なる景色が広がり、四季折々の彩りを感じられます。
弁当を広げたり、携帯バーナーで温かいスープを作ったりと、それぞれ思い思いの時間を楽しむ登山者の姿も。
山歩きの疲れを癒やしつつ、のんびりと絶景を味わえる贅沢なひと時です。

案内板
長尾平から先はさまざまな方面に道が分岐します。
写真の案内板からロックガーデンまで向かい、戻って来るコースの所要時間は2時間ほど。周遊コースになっています。
大岳山など近隣の山を縦走するコースに進むこともできるため、登山を楽しみたい人はそちらのコースもおすすめです。

天狗岩
長尾平から天狗岩まではおよそ20分。鎖場を登れば、眼下に広がる緑が一望できます。
岩の上には天狗の像が。道中を見守ってくれています。

ロックガーデン
ここから先はいよいよロックガーデン。
沢沿いを流れる水音やひんやりとした空気に包まれながら、飛び石や小さな橋を渡って進みます。
上り下りが続き、足元が滑りやすい箇所もあるため、景色に見とれすぎず足元にも気を配りましょう。

休憩所には公衆トイレも
ロックガーデンの途中には休憩所があります。
大小の岩に囲まれ、木漏れ日のなかで一服できるこの場所は、ここまで歩いてきた人だけが体感できる格別のスポットです。

綾広の滝
さらに進むと現れるのは、落差10mの綾広の滝。
『武蔵御嶽神社』の滝行にも使われる神聖な滝で、辺りは澄み渡った空気に包まれています。

緑のトンネルを抜けると、再び参道へ。
そのまま道を下れば、食事処がずらりと並ぶエリアまで戻ることができます。

山の味覚を絶景とともに味わうのも登山の楽しみの1つ。
4代に渡り受け継がれてきた食事処『紅葉屋』では、御岳山の絶景を眺めながら、抹茶を練り込んだうどんをいただくことができます。

『紅葉屋』の外観
名物の『くるみうどん 抹茶麺』など、おいしいうどんや山菜が食べられる『紅葉屋』の写真やメニューの詳細はこちらの記事をご覧ください。
東京を拠点に、日帰りで豊かな日本の自然を楽しめる御岳山。季節ごとに違った美しさを見せてくれます。
あなたも次の旅で、この静かな山を歩いてみませんか。

観光地情報
観光地名 | 御岳山 みたけさん Mt. Mitake |
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住所 | 東京都青梅市御岳山38-5 ※東京都御岳ビジターセンター |
電話番号 | 0428-78-9363 ※東京都御岳ビジターセンター |
入山可能時間 | 24時間 ※徒歩の場合 |
閉山日 | なし |
利用料 | 無料 |
※記事の情報は2025年8月時点のものです。