夏の始まりを告げるように、街に姿を見せるかき氷。専用の機械で薄く削られた氷に、シロップをたっぷりとまとわせた、日本ならではの涼を感じるスイーツです。
時代が進むにつれて夏祭りの定番フードとなったかき氷は、現在では専門店もできるほどの人気ぶり。
韓国のパッピンスや台湾の雪花氷や、ハワイのシェイブアイスなど、世界各地に似た氷菓はありますが、日本のかき氷は食感の細やかさや味の重なり方に個性があり、独自のスタイルを築いてきました。
見た目の美しさや、素材へのこだわりは年々進化し、日本国内はもちろん、海外からも『Japanese Kakigori』として関心が高まり、SNSを通じて話題を集めています。
かき氷のレシピ
かき氷を本格的に楽しむなら、まずは氷を削る専用の機械を用意するのがおすすめです。最近では、家庭用でもふわふわの食感が再現できる高性能なモデルが登場しており、カフェのような仕上がりが目指せます。
ポイントは、家庭の冷凍庫でゆっくり凍らせた透明な氷を使うこと。雑味がなく、口どけもなめらかになります。

※家庭用かき氷機のイメージ
削った氷には、お好みのシロップをたっぷりとかけましょう。シロップは、スーパーマーケットで500~1,000円程度と安価に手に入ります。数あるフレーバーの中でも、イチゴやメロンは定番中の定番です。
より本格的なかき氷を求めるなら、果物を煮詰めて手作りするソースもおすすめ。甘さや酸味を調整しながら、自分好みの味を見つける楽しさがあります。

※かき氷のシロップのイメージ
トッピングを加えれば、出来栄えはより豪華に!練乳や小豆、白玉、バニラアイスなどを合わせると、贅沢なかき氷に仕上がります。
最近ではプリンやチーズクリーム、ナッツなどを使った個性的なアレンジも人気です。
自分で作るかき氷は、素材選びから盛り付けまで自由自在。季節のフルーツや彩りを取り入れながら、世界に1つだけのかき氷を完成させてみてはいかがでしょうか。
世界のかき氷との違い
日本のかき氷のように、氷から作るスイーツは世界各地にあります。氷の質感や味付け、トッピングには、地域ごとの個性が感じられるものです。
韓国のパッピンス

※韓国のパッピンスのイメージ
韓国のパッピンスは、韓国語で小豆を意味する『パッ』と、かき氷の『ピンス』を組み合わせた言葉。
その名の通り、小豆をベースに、フルーツやゼリー、アイスクリーム、シリアルなど、具だくさんなトッピングを楽しむスタイルです。
氷はきめ細かく削られており、日本のかき氷に近い部分もありますが、ボリューム感や華やかさはパフェに近い印象です。
台湾の雪花氷(シュエファービン)

※台湾の雪花氷のイメージ
凍らせたミルクや、フルーツジュースを削って作るのが、台湾の雪花氷。氷そのものに味が付いているため、食べるたびに甘みや風味を感じられます。
食感も特徴的で、ふわふわというよりも、なめらかでとろけるような口当たりです。
トッピングには、練乳やマンゴー、タピオカなど、南国である台湾らしいトッピングがよく使われます。
ハワイのシェイブアイス

※ハワイのシェイブアイスのイメージ
ハワイのシェイブアイスは、細かく削られた氷にカラフルなシロップをかける、見た目も鮮やかなスタイルが特徴です。
パッピンスや雪花氷と比べると、最も日本の定番のかき氷に近いスタイルといえます。
氷自体はやや粗めに削ってあり、シャリっとした食感。レインボーカラーのシロップや、アイスクリームを底に入れるアレンジもシェイブアイスでは一般的で、遊び心のある仕上がりが人気です。
かき氷の定番&人気フレーバー
近年、かき氷は冷たいスイーツの枠を超え、味や見た目にこだわる奥深い存在へと進化しています。
定番のイチゴのシロップから、抹茶など和のフレーバー、個性豊かなトッピングやアレンジまで、選ぶ楽しさも魅力の1つです。
定番のシロップ:イチゴ

『上野かき氷専門店四代目大野屋氷室』のかき氷
かき氷と聞いて、まず思い浮かぶのがイチゴのシロップ。どの店にも必ずといっていいほど用意されている、かき氷の定番のフレーバーです。
赤く鮮やかな色合いと、甘酸っぱくて親しみのある味わいは、子供から大人まで幅広く愛されています。
上野にある『上野かき氷専門店四代目大野屋氷室』のように、専門店ともなれば、果肉を丁寧に煮詰めて作る、まるでフルーツそのもののような濃厚なイチゴシロップを使用しているところも。
氷の繊細さと果実の存在感が重なり合い、ひと口ごとに幸福感が広がります。
日本ならではのシロップ:抹茶

『彩夏』のかき氷
日本の伝統を感じるフレーバーといえば、やはり抹茶。上質な抹茶を贅沢に使ったかき氷は、甘さだけでなく、ほのかな渋みや香りの奥行きも楽しめるのが魅力です。
浅草にある『彩夏』では、シロップに使う抹茶の産地や品種にこだわり抜いたかき氷を提供しています。
特にお茶の名産地として有名な京都の宇治産の抹茶を使用したかき氷は、まろやかさと深みのある味わいが特徴で、甘みと苦みのバランスが絶妙です。
ソースやトッピングにこだわったかき氷

『八屋』のかき氷
トッピングのアイデア次第で、かき氷の世界はさらに広がります。原宿駅から徒歩10分の場所にある『八屋』では、見た目にも楽しく、驚きに満ちたかき氷が楽しめます。
2025年8月に登場する期間限定かき氷は、もちもちの求肥(ぎゅうひ)に、ピーナッツ味のかりんとう、そしてみずみずしいアロエというユニークな素材の組み合わせが光る1杯。
和と洋の垣根を越えた、まさに現代のかき氷を象徴する存在です。
進化系のかき氷

『ひみつ堂』のかき氷
より贅沢に、よりこだわって。そんな思いを込めた進化系のかき氷も注目を集めています。
日暮里にある人気店『ひみつ堂』では、自家製の練乳をベースに、ヨーグルトやホイップクリームなどのオリジナルのトッピングを重ねたかき氷が人気です。

『堀内果実園』のかき氷
また、押上の『堀内果実園』では、国産の旬のフルーツを丸ごと使った、ボリュームたっぷりのかき氷を提供しています。
もちろんシロップもフルーツを煮込んで作っており、果実そのものの味を氷とともに味わえる贅沢な1杯は、まるでパフェのような満足感です。
かき氷は、氷とシロップというシンプルな組み合わせながら、地域や文化、そして時代とともに大きく進化してきました。
定番のイチゴや抹茶のシロップに加えて、ユニークなトッピングや進化系レシピも登場し、今や1年を通して楽しめるスイーツとなっています。
暑い季節に限らず、自分好みの味を探しに出かけてみてはいかがでしょうか。
※メニューの内容や料金、店舗情報などは2025年8月時点のものです。