「マグロってどんな魚?」「どこで食べればいいの?」日本に来るなら読んでおきたい『マグロ完全ガイド』

タカマル鮮魚店 本館

日本を訪れる外国人旅行者にとって、寿司や刺身で味わう『マグロ』はぜひ体験したい食材の1つです。

しかし、ひと口にマグロといっても、実は部位や種類によって名前も味も価格も大きく異なることをご存知でしょうか。日本では、マグロのさまざまな部位を細かく分類し、それぞれの特徴を生かした調理法で提供しています。

この記事では、日本を訪れる旅行者がマグロを楽しむ前に知っておきたい基礎知識から、部位ごとの特徴、種類別の価格帯まで、旅行で役立つ実践的な情報を詳しく解説します。

マグロとは何か?日本食文化における重要性

マグロとは、英語でいうところの『tuna』を指す魚類で、日本では古くから重要な食材として親しまれてきました。

特に江戸時代から発展した寿司文化において、マグロは欠かせない存在となっています。現代の日本では、マグロは生食(刺身や寿司)だけでなく、焼き物や煮物などの加熱調理でも楽しまれています。

マグロの基本的な特徴

マグロは回遊性の大型魚類で、その身の部位によって脂の含有量や味わいが大きく変化することが最大の特徴です。日本人は長年の経験から、マグロの各部位を細かく分類し、それぞれに適した調理法を確立してきました。

魚介類における部位別の利用法は、世界的に見ても非常に独特な食文化といえるでしょう。

オートロキッチン』でさばかれたばかりのマグロの切り身

日本の寿司文化におけるマグロの位置づけ

江戸前寿司の発展において、マグロは『トロ』という概念の誕生とともに高級食材としての地位を確立しました。現在、マグロには赤身から大トロまで、価格帯の異なるさまざまな選択肢があるため、予算に応じて楽しむことができる食材として人気があります。

訪日外国人にとっても、マグロ料理は日本の食文化を体感するうえで欠かせないものといえるでしょう。

まぐろや黒銀』で提供される『三色刺身盛り』

マグロの部位と名称|味わいの違いを理解する

マグロを深く理解するためには、まず部位ごとの名称と特徴を知ることが重要です。

日本では、マグロの身を細かく分類し、それぞれの部位に固有の名前をつけて区別しています。ここでは、主要な部位について詳しく解説します。

頭部(かしら)の希少部位

マグロの頭部には、非常に希少価値の高い部位が存在します。

特に『かしら肉』は全体のわずか0.5%しか取れない超希少部位で、一度食べると忘れられない濃厚な味わいが特徴です。また、『ほほ肉』は肉厚でジューシーな食感が楽しめ、ステーキのような調理法でも提供されることがあります。

『あご・目の周り』の部位は、煮物や焼き物として調理されることが多く、頭を丸ごと焼いた『かぶと焼き』は、その迫力ある見た目でも話題になる料理です。

かま(えら周辺)の特徴

『かま』とは、えらの下の部分を指し、1匹のマグロから2切れしか取れない希少部位です。特に『かまとろ』と呼ばれる部分は、霜降り肉のような美しい見た目と、とろけるような食感で高級寿司店でも提供される逸品です。

かまは焼き物、煮物、しゃぶしゃぶなど、さまざまな調理法で楽しまれており、その用途の広さも魅力の1つといえるでしょう。

オートロキッチン』で提供される『カマトロの刺身』

トロの分類と特徴

マグロで最も有名な部位である『トロ』は、脂の含有量によってさらに細かく分類されます。

最高級の『大トロ』は腹の前方から中央にかけての部位で、とろけるような食感と濃厚な味わいが特徴です。『中トロ』は背中と腹の中間部位で、適度な脂と赤身のバランスが絶妙な人気部位です。『赤身』は脂が少なくあっさりとした味わいで、マグロ本来のうまみを楽しめる部位として、脂っこいものが苦手な人にもおすすめできます。

駄菓子屋』で提供される『メガ盛り鮪丼』

マグロの種類と価格帯|旅行予算に合わせた選び方

日本で流通するマグロには主に5つの種類があり、それぞれ味わいや価格が異なります。

旅行の予算や好みに応じて選択できるよう、各種類の特徴と価格帯について詳しく説明していきましょう。

主要なマグロの種類

種類 特徴 価格帯
本マグロ(クロマグロ) 最高級品質、濃厚なうまみと豊富な脂 最高級
南マグロ(ミナミマグロ) しっかりした味わい、脂のバランス良好 高級
メバチマグロ 赤身中心、安定した品質 中級
キハダマグロ 赤身多め、さっぱりした味わい リーズナブル
ビンナガマグロ(ビンチョウマグロ) 白っぽい肉質、缶詰にも使用 最もリーズナブル

この表からわかるように、マグロの種類によって価格帯が大きく異なります。旅行予算に合わせて、体験したいマグロの種類を事前に決めておくことをおすすめします。

マグロの価格の目安

天然の本マグロ(特に青森県大間産)の場合は最高級価格帯になることもありますが、海外産の天然マグロなら比較的安価に楽しむことができます。

また、日本国内の養殖マグロであればさらに手頃な価格となり、より気軽にマグロのおいしさを体験できます。回転寿司チェーンでは、1皿100円台からという非常にリーズナブルな価格でマグロ寿司を楽しむことも可能です。

写真は回転寿司店『まぐろ人秋葉原』の店内

旅行者におすすめのマグロの選び方

初めて日本を訪れる人には、まず回転寿司でさまざまな種類のマグロを試食してから、高級寿司店で本格的なマグロを体験することをおすすめします。

予算に余裕がある場合は、まず本マグロの大トロを体験してください。もちろん、キハダマグロの赤身でも十分に日本のマグロのおいしさを実感できます。旅行の日程や予算に合わせて、段階的にマグロの世界を探索してみてください。

築地すしくろ銀座インズ店』で提供される『七福にぎり(お椀付)』

マグロの食べ方と楽しみ方|旅行で活用できる実践知識

マグロを最大限に楽しむためには、適切な食べ方や注文方法を知っておくことが重要です。ここでは、旅行中に実際に役立つ実践的な情報をお伝えします。

寿司でのマグロの楽しみ方

寿司でマグロを注文する際は、『赤身』『中トロ』『大トロ』の順番で食べることが一般的です。この順番は、味の淡いものから濃いものへと進むことで、それぞれの部位の特徴をより鮮明に感じ取ることができるからです。

また、ワサビの量は部位によって調整することも重要で、脂の多い大トロには少なめ、赤身には多めに使用するのがおすすめです。

築地魚河岸 まぐろ一代』で提供される『まぐろづくし』

刺身でのマグロの味わい方

刺身でマグロを楽しむ場合は、醤油の付け方にも注意が必要です。醤油は刺身の角に少量だけつけ、魚のうまみを醤油が覆い隠さないようにします。

特に高級なマグロの場合は、まず何もつけずに素材そのものの味を確認してから、醤油やワサビを加えて味の変化を楽しむことをおすすめします。ダイコンのつまや大葉などの薬味も、口の中をリフレッシュする役割があるため、マグロの味わいを邪魔しない程度に上手に活用してください。

まぐろや黒銀』で提供される『三色刺身盛り』

よくある質問と注意点

日本を訪れたことがある旅行者が感じたマグロに関する疑問と、マグロを安心して楽しむための注意点について説明します。

マグロの安全性について

日本では厳格な食品安全基準が設けられており生でマグロを食べても安全です。

ただし信頼できる店舗での購入・飲食をするほうがよいでしょう。特に観光地の評判のよい寿司店や、地元の人に愛される老舗店であれば、新鮮で安全なマグロを提供してくれるでしょう。体調が優れない時や、生魚に慣れていない人は、加熱調理されたマグロ料理を楽しむのも選択肢の1つです。

アレルギーと食事制限への対応

魚類アレルギーがある人は、事前に店舗スタッフに相談してみてください。また、宗教的な食事制限がある場合も、まずは飲食店に相談してみましょう。対応可能な場合は詳細を説明してくれます。

最近では、ハラール認証を受けた寿司店も増えており、さまざまな背景を持つ旅行者がマグロを楽しめる環境が整いつつあります。

価格に関するトラブル回避

高級寿司店では、マグロの部位や産地によって価格が大きく異なるため、注文前に価格を確認することが重要です。

特に『時価』表示の場合は、必ず具体的な金額を尋ねてから注文しましょう。英語メニューを用意する店舗も増えてきているため、言語面でもそれほど心配する必要はありません。

※写真はイメージ

まとめ

マグロは日本の食文化を代表する食材であり、部位ごとの違いや種類による価格帯の違いを理解することで、より深く楽しむことができます。赤身から大トロまで、それぞれに独特の味わいがあり、旅行の予算や好みに応じて選択できる幅広い選択肢があることが魅力です。

初めて日本を訪れる人は、回転寿司で手軽にマグロの基本を体験してから、徐々に高級店での本格的なマグロを楽しむという段階的なアプローチをおすすめします。

安全でおいしいマグロを楽しむためには、信頼できる店舗選びと適切な注文方法が重要であり、不明な点があれば遠慮なく店舗スタッフに相談することが大切です。