伝統と革新が融合するエリア、銀座。
近年では、高級ショッピング街という側面にフォーカスされがちですが、銀座の魅力はそれだけではありません。
歌舞伎を公演する歌舞伎座に代表されるように、古くから銀座は芸術や文化の中心地であり続けてきました。
現在でも銀座駅周辺には、国宝をはじめ、歴史的価値の高い美術品を所蔵する美術館が多数。
銀座で出会える美術品、そしてそれらを所蔵、展示する新旧の美術館をご紹介します。
アーティゾン美術館:日本近代洋画を中心に、ゴッホやモネの作品も
現在のミュージアムタワー京橋が建つ同じ場所に、アーティゾン美術館の前身となるブリヂストン美術館が開館したのは、1952年のこと。
ブリヂストンビルが建て替えを経て、地上23階建ての美術館一体型のオフィスビルに生まれ変わりました。
ビルの竣工にともない館名を改め、アーティゾン美術館として、2020年に開館しています。

アーティゾン美術館の外観
アーティゾン美術館は、ミュージアムタワー京橋の1~6階に位置し、縦に層を重ねていく構造が特徴。
1~2階、3~5階は吹き抜けとなっており、余白と開放感を持たせ、かつ都心の景観に馴染むデザインが取り入れられています。

アーティゾン美術館の3階ロビー
さらに、最先端のデジタル技術を取り入れた来館者向けのサービスが充実しているのも、2020年に開館したアーティゾン美術館ならでは。
『ARTIZON MUSEUM 公式アプリ』をスマートフォンにダウンロードすれば、日本語、英語、中国語、韓国語に対応した音声ガイドを無料で利用できます。来館の際は、イヤホンを忘れずにお持ちください。
4階には、『デジタル・コレクション・ウォール』が設置されており、こちらも最先端の技術を取り入れたサービス。
タッチパネル式の大型ディスプレイで、直感的に触って、自由に美術作品を鑑賞できます。

来館者が自由に操作できる『デジタル・コレクション・ウォール』
注目すべき作品
株式会社ブリヂストンの創業者である、石橋正二郎氏が築いたコレクションを礎に現在も収集を続け、約3,000点にも及ぶ美術作品を所蔵する『アーティゾン美術館』。
古代美術、印象派、日本の近世美術、日本近代洋画、20世紀美術、現代美術など、コレクションの幅を広げています。
特筆すべきは、印象派をはじめとする西洋近代絵画、そしてそれらに影響を受けた日本の近代絵画のコレクションの充実度です。

クロード・モネ『睡蓮の池』1907年
印象派ではクロード・モネの『睡蓮の池』、ピエール=オーギュスト・ルノワールの『すわるジョルジェット・シャルパンティエ嬢』。
日本近代洋画では、重要文化財にも指定されている、青木繁の『海の幸』や、藤島武二の『天平の面影』を所蔵し、アーティゾン美術館のコレクション内容は高い評価を得ています。

青木繁『海の幸』1904年
アーティゾン美術館の施設情報
施設名 | アーティゾン美術館 あーてぃぞんびじゅつかん Artizon Museum |
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住所 | 東京都中央区京橋1-7-2
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電話番号 | 050-5541-8600(ハローダイヤル) |
開館時間 | 火~木・土・日曜日10:00~18:00(入館は閉館の30分前まで) 金曜日10:00~20:00(入館は閉館の30分前まで) ※金曜日が祝日の場合は、10:00~18:00 |
休館日 | 月曜日(休日・祝日の場合は開館。翌平日が休館日)、年末年始 ※展示替えにより不定休あり |
入館料 | 一般/展覧会毎に異なるため、美術館公式ウェブサイトを要確認 大学生・専門学校生・高校生/無料 美術館公式ウェブサイトから要予約(学生証または生徒手帳を要提示) 中学生以下/無料 障がい者手帳をお持ちの方(付添者1名含む)/無料(障がい者手帳を要提示) ※日時指定予約制。公式ウェブサイト、美術館窓口で予約可能 ※予約枠に空きがある場合のみ、当日美術館窓口でチケット購入可能 ※1つの展覧会チケットで同時開催の展覧会すべての観覧が可能 |
パンフレット | 日本語・英語・中国語・韓国語に対応 |
音声ガイド | 日本語・英語・中国語・韓国語に対応 |
三井記念美術館:茶道具、刀に絵画まで、日本美術品の宝庫
江戸時代に三井家が創業した呉服店を起源とし、戦前、日本の最大財閥の1つに数えられた三井財閥。
三井記念美術館は、三井家が江戸時代から収集した美術品を展示する美術館であり、茶道具、絵画、刀剣、工芸品など、日本および東洋の優れた美術作品を収蔵、展示しています。

三井記念美術館の入り口
三井記念美術館は、重要文化財に指定されている三井本館の7階に位置しており、展示室は当時の雰囲気を残した造り。
いわば美術館の建物そのものも歴史的価値が高い展示品です。重厚な洋風建築のエレベーター、壁や柱の装飾など、館内の細かな箇所まで見逃せません。
入り口は、三井本館に隣接する日本橋三井タワーの1階アトリウムにあり、近代から現代への建築様式の移り変わりも含め、楽しめます。

©三井記念美術館
注目すべき作品
三井記念美術館では、円山応挙の代表作である、国宝『雪松図屏風』をはじめとする、国宝6点、重要文化財75点を含む、約4,000点を所蔵。
館蔵品の中からテーマに沿った作品を展示する館蔵品展と、館外から借りた作品を中心に構成される特別展と合わせ、年5回の展覧会が開催されています。

重要文化財『黒楽茶碗 銘 俊寛』 三井記念美術館所蔵
館蔵品の大部分は茶道具であり、国宝の『志野茶碗 銘卯花墻』、重要文化財の『黒楽茶碗 銘俊寛』に『唐物肩衝茶入(北野肩衝)』など名品、優品が多数。
館蔵品以外の美術品も並ぶ特別展では仏教美術、神道美術、茶道、漆工芸、江戸絵画が主題となるケースが多いといいます。

国宝『雪松図屏風(右隻)』 三井記念美術館所蔵

国宝『雪松図屏風(左隻)』 三井記念美術館所蔵
三井記念美術館のオリジナルグッズ:センスを感じる和のモチーフ
美術館に併設するミュージアムショップでは、オリジナルグッズを販売しています。手ぬぐい、コレクションの中心である茶道具から茶碗をデザインしたアクリルキーホルダとトートバッグなど、個性的なものが目白押し。
ほかに、刀剣がデザインされた御朱印、ミニサイズの屏風飾りも美術館のオリジナルグッズとして販売されています。

三井記念美術館オリジナルの『てぬぐい』 各1,100円(税込み)

(左)『重要文化財 黒楽茶碗 銘雨雲 本阿弥光悦作 アクリルキーホルダー』 770円(税込み)、(右)『国宝 志野茶碗 銘卯花墻 アクリルキーホルダー』 770円(税込み)

『オリジナルトート 志野茶碗 銘卯花墻』 各種1,500円(税込み)
一部の商品は館蔵品展、特別展の内容によって変わります。これら期間限定グッズにも注目したいところ。
持ち帰りができる美術品ともいえる、ユニークなグッズとの出会いが待っています。

『国宝の名刀と甲冑・武者絵』に合わせて販売されていたグッズ
三井記念美術館の施設情報
施設名 | 三井記念美術館 みついきねんびじゅつかん Mitsui Memorial Museum |
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住所 | 東京都中央区日本橋室町2-1-1 三井本館 7階
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電話番号 | 050-5541-8600(ハローダイヤル) |
開館時間 | 10:00~17:00(入館は閉館の30分前まで) |
休館日 | 月曜日(休日・祝日の場合は開館。翌平日が休館日) ※展示替え、年末年始ほか、不定休あり |
入館料 | ■館蔵品展 一般/1,200円(税込み) ※20名以上の団体利用、もしくは70歳以上の場合、1,000円(税込み) 大学・高校生/700円(税込み) ※20名以上の団体利用の場合、600円(税込み) 中学生以下/無料 ■特別展 一般/1,500円(税込み) ※一部、例外の特別展あり ※20名以上の団体利用、もしくは70歳以上の場合、1,300円(税込み) 大学・高校生/1,000円(税込み) ※20名以上の団体利用の場合、900円(税込み) 中学生以下/無料 |
パンフレット | 日本語・英語・中国語・韓国語・仏語に対応 ※美術館の概要パンフレットのみ |
音声ガイド | 日本語に対応 |
アートアクアリウム美術館 GINZA:伝統美術とコンテンポラリーアートを融合
アートアクアリウム美術館 GINZAでは、江戸時代から続く金魚鑑賞の文化を現代的に表現した作品が並びます。
場所は1930年にオープンした百貨店、銀座三越の新館8階。9階から入場し、エスカレーターで8階に進むと、そこには幻想的な空間が広がっています。

入口すぐに展示されている『金魚の回廊』
通常、展示品によって撮影不可の規定を設ける美術館が多い中、アートアクアリウム美術館 GINZAは、館内の全エリアで撮影が可能。
館内にフォトスポットの案内を設置しているほか、公式ウェブサイト上では人物撮影のヒントも紹介するなど、撮影を推奨している点がユニークです。

人気フォトスポットの1つ『金魚の竹林』
また、春は桜、夏は風鈴や新緑、秋は紅葉、冬は雪景色など、四季の移り変わりとともに館内の装飾が変わるのも、アートアクアリウム美術館 GINZAの魅力。
展示品には光・音・香の3つからなる演出を取り入れ、視覚・聴覚・嗅覚を刺激し、没入型の美術鑑賞を楽しめます。

アートアクアリウム美術館 GINZAを代表する展示『花魁帯舞(OBIMAI)』
注目すべき作品
アートアクアリウム美術館 GINZAで、飼育、展示する金魚は約70種類(2025年4月時点)。
『新金魚品評』では、四角形の水槽の中を泳ぐ金魚を、上から眺めて鑑賞できます。
優に20個を超える水槽は、そのすべてに異なる金魚が展示されており、中には珍しく貴重な品種も。
模様、ひれの形状、同じ品種でも1匹づつ微妙に異なる美しさを発見できます。

『新金魚品評』の水槽は開催時期の春にあわせて桜があしらわれていた
日本の伝統工芸や伝統文化をベースに、コンテンポラリーアートの要素を融合させた展示品も充実。
その1つが、『九谷金魚品評』であり、日本の伝統工芸である九谷焼を水槽にした大胆な展示品。
色鮮やかな絵柄の中には、美術館のオリジナルの家紋があしらわれ、金魚はもとより水槽そのものにも注目したいところです。

アートアクアリウム美術館 GINZAオリジナルの九谷焼を水槽にした『九谷金魚品評』
伝統的な家屋に取り入れられている障子をモチーフにした『障子リウム』や、日本の有名華道家とコラボレーションをした『花魁花舞(HANAMAI)』も、圧巻の美しさ。
展示エリアは約1時間ほどで見て回れますが、写真撮影も行うのであれば、2時間あっても足りないかもしれないとすら思えます。

SNS映えする『花魁花舞(HANAMAI)』
アートアクアリウム美術館 GINZAのオリジナルグッズ:ハロー・キティとのコラボ商品
海外セレブの間でも高い人気を誇るハロー・キティとコラボしたステッカーやアクリルキーホルダーをはじめ、ミュージアムショップではオリジナルグッズがラインナップ。

(左)『アクリルキーホルダー』 750円(税込み)、(右)『ステッカー』 各500円(税込み)
金魚のぬいぐるみは数あるグッズの中でも人気が高く、M、L、XLの3つのサイズで展開されています。
立体的でデフォルメされたぬいぐるみは、無意識に手が伸びてしまう愛らしさです。

『ぬいぐるみ(M)』 1,540円(税込み)
アルファベットキーホルダーは、自分用にはもちろんプレゼント用でも喜ばれます。
一つひとつデザインが異なるため、お気に入りを探してみてはいかがですか。
アートアクアリウム美術館 GINZAの施設情報
施設名 | アートアクアリウム美術館 GINZA あーとあくありうむびじゅつかん ぎんざ ART AQUARIUM museum GINZA |
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住所 | 東京都中央区銀座4-6-16 銀座三越(入場受付:新館9階)
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電話番号 | 03-3528-6721 |
開館時間 | 10:00~19:00(入館は閉館の1時間前まで) |
休館日 | なし ※公式サイトを確認 |
入館料 | 当日発売機入場券/2,700円(税込み) web限定入場券/2,500円(税込み) |
パンフレット | 日本語・英語に対応 |
音声ガイド | なし |