東京で食べるべき名店オムライスたち ソースで変わるその味わい 

日本を旅すると、洋食と呼ばれる料理ジャンルに出会うことがあります。

日本の洋食とは、海外で生まれた料理をベースにしながら、日本人の味覚に合わせて独自に進化したスタイルの料理。

明治時代に西洋文化が流入したことをきっかけに広まり、ハンバーグやカレーライス、ナポリタンなど、今では日本の家庭やレストランで定番のメニューとなっています。

その代表格が、ふんわり卵で包まれたオムライス。ケチャップの甘酸っぱい香りに誘われてひと口食べれば、やさしい味わいが口いっぱいに広がります。

上野にある洋食や 三代目 たいめいけんのオムライス

上野にある『洋食や 三代目 たいめいけん』のオムライス

見た目は洋風なのに、日本独自の進化を遂げた不思議な存在。

街の喫茶店やカフェ、昔ながらの洋食店など、旅の途中でふらりと立ち寄った店で出会うオムライスは、きっと忘れられない味になるはずです。

オムライスとは?:具材や味付け

オムライスとは、炒めたご飯に味付けをし、ふんわりと焼いた卵で包んだ、日本発祥の洋食であることは、先に触れた通り。

定番のスタイルは、ご飯をケチャップで味付けしたケチャップライスを、半熟またはしっかり焼いた薄焼き卵で包んだものです。

上野にある洋食や 三代目 たいめいけんのオムライス

上野にある『洋食や 三代目 たいめいけん』のオムライス

ご飯には、鶏肉やタマネギ、ピーマンなどがよく使われ、家庭や店ごとにレシピも個性豊か。

最近では定番のケチャプライスに限らず、バターライスやガーリックライスを使ったものなど、ライスのアレンジも多様化しています。

食べた時のインパクト、見た目の美しさ、そして何より大切な卵との相性を考えた味付けが、各店の個性の出しどころ。

シンプルながら奥深い料理として多くの人に親しまれています。

オムライスの起源

オムライスの起源にはいくつかの説がありますが、一般的には大正時代の日本で誕生した料理といわれています。

特に有名なものが、大阪の老舗洋食店『北極星』の前身となる『パンヤの食堂』で生まれたという説。体調を崩した常連客のために、消化のよいオムレツとチキンライスを一緒に提供したのが始まりだったともいわれています。

また、東京の銀座にある『煉瓦亭』が、フライパンで炒めたご飯を薄焼き卵で包んだ『ライスオムレツ』なる料理を提供していたという記録もあり、こちらを起源とする説も。

どちらにしても、西洋料理の影響を受けつつ、日本人の味覚や食文化に合わせて生まれたオムライスは、日本独自の進化を遂げてきたのです。

オムライスのソースの種類

オムライスの楽しみの1つが、ソースのバリエーションです。定番のケチャップはもちろん、トマトやデミグラス、さらにはカレーやクリームなど、ソースによってまったく違う表情を見せてくれるのが魅力。

東京にある実際の店舗でも、個性豊かなソースを使ったオムライスが楽しめます。

ケチャップソース

浅草にある『ヨシカミ』のオムライス

浅草にある『ヨシカミ』のオムライス

まず、王道のケチャップソースは、昔から存在する定番のスタイル。浅草の老舗洋食店『ヨシカミ』では、しっかり炒めたケチャップライスにふんわり卵をのせ、素朴で懐かしい味わいの1皿に仕上げています。

トマトソース

秋葉原にある『須田町食堂 秋葉原UDX店』のオムライス

秋葉原にある『須田町食堂 秋葉原UDX店』のオムライス

フレッシュな後味を楽しみたい人には、トマトソースを使ったオムライスがおすすめです。秋葉原の『須田町食堂 秋葉原UDX店』では、自家製のトマトソースが自慢。酸味と甘みがバランスよく調和したソースで、上品な印象を生み出します。

デミグラスソース

渋谷にある『はんばーぐ&おむらいすのお店 いくら 渋谷店』のオムライス

渋谷にある『はんばーぐ&おむらいすのお店 いくら』のオムライス

濃厚なコクを求めるなら、デミグラスソース一択。渋谷の『はんばーぐ&おむらいすのお店 いくら』では、じっくり煮込んだデミグラスソースがたっぷりとかけられ、見た目にも豪華な仕上がりです。

カレーソース

浅草にある『カフェ・ド・ラーク』のオムライス

浅草にある『カフェ・ド・ラーク』のオムライス

スパイシーな変化球として、カレーソースも見逃せません。カレーソースを用意している店は少ないものの、だからこそ根強い人気を誇ります。

浅草の『カフェ・ド・ラーク』では、ほんのり辛みのきいたカレーのルーとオムライスの相性が抜群で、満足感のある味わいです。

クリームソース

原宿にある『たまごKitchen原宿オム』のオムライス

原宿にある『たまごKitchen原宿オム』の『明太ポテマヨクリームオムライス(ふわとろ)』

アレンジ次第でいかようにも姿を変える、クリームソース系のオムライスは各店の個性が際立ちます。

とりわけ原宿のオムライス専門店である『たまごKitchen原宿オム』では、ポテトやベシャメルソースを加えたオリジナルのソースが楽しめ、女性客を中心に人気です。

チーズソース

日本橋にある『Picoti Picota』のオムライス

日本橋にある『Picoti Picota』のオムライス

最後に紹介するのが、まろやかさとコクを同時に味わえるチーズソース。数種類のチーズをブレンドすることで生まれるコクが卵と一体化した、日本橋の『Picoti Picota』のオムライスは、チーズ好きにはたまらない1品です。

オムライスのバリエーション:包型 vs とろとろ卵

オムライスとひと口にいっても、そのスタイルは実に多彩。昔ながらの包型から、見た目も味も斬新な創作系まで、今ではさまざまなバリエーションが楽しまれています。

王道の包型

上野にある『洋食 黒船亭』のオムライス

上野にある『洋食 黒船亭』のオムライス

まずは王道、卵でごはんをしっかり包んだ包型オムライスからご紹介します。

上野にある老舗洋食店『洋食 黒船亭』のオムライスは、鮮やかな卵の黄色に深紅のケチャップが映える、シンプルでありながらも洗練されたフォルムが特徴です。

口に入れた瞬間、しっとりとした卵の質感とやさしいうまみが広がり、まさに基本にして完成形の味わいです。

くちどけがよい、とろとろ卵型

東京にある『グリル満天星』のオムライス

東京にある『グリル満天星』の『オムレツライス デミグラス』 

一方、現代の定番ともいえるのが、とろとろ卵のオープンスタイル。

東京駅直結の丸ビル内に店舗を構える『グリル満天星』では、卵を3個も使用し、さらに生クリームを加えて作るリッチな卵液を、エビやホタテ、グリーンピースなどの具材とともにふんわり仕上げています。

使用される卵は、平飼いで育てられた無添加かつ無農薬のもの。黄身の濃さや卵本来の風味が際立ち、シンプルながら贅沢な1皿です。

番外編:創作オムライス

原宿にある『たまごKitchen原宿オム』のオムライス

原宿にある『たまごKitchen原宿オム』の『生オムライス(TKG)(巻き)』

ユニークな創作系として注目されているのが、原宿の『たまごKitchen原宿オム』で提供されている『生オムライス(TKG)(巻き)』。

中に入っているのはチキンライスではなく、生卵を和えた白米。しかしソースの役割を果たすトッピングが実にユニークなのです。

出汁醤油をジュレにし、そこに添えられているのは、刻み海苔。卵とライスとともに頬張れば、出汁のうまみが口の中にじんわりと広がる、新感覚の和風オムライスです。

番外編:ライブ感あふれるオムライス

銀座にある『喫茶you』のオムライス

銀座にある『喫茶you』のオムライス

見た目のインパクトとエンタメ性で選ぶなら、銀座の『喫茶you』の看板メニュー、『オムライス』も外せません。

雲のようにふわふわのオムレツがケチャップライスの上に乗せて提供され、注文者が自らナイフで切れ目を入れると、トロトロの卵がとろけるように広がります。

その食感は『飲めるオムライス』とも称されるほど、軽やかでなめらかです。

番外編:トッピングでオムライスにアレンジを

新宿にある『神田たまごけん』のオムライス

新宿にある『神田たまごけん』のオムライス

さらに、トッピングで自由にアレンジするスタイルも人気です。新宿の『神田たまごけん』では、ハンバーグや牛すじシチュー、エビフライ、から揚げなどの豊富なトッピングを選べ、自分好みのボリューム満点オムライスが楽しめます。

オムライスは、日本の洋食文化を象徴する存在でありながら、家庭的な雰囲気も併せ持ち、ほっとする味わいが魅力です。

見た目の華やかさや、卵のふわふわとろとろ食感、ソースやライスのアレンジなど、その多彩さは一度では語り尽くせません。

だからこそ、旅行中に何度でも食べたくなる、そんな中毒性すらある料理なのです。

初めての人には、昔ながらのケチャップソースにチキンライスを合わせた、包型のクラシックスタイルがおすすめ。まずは基本のおいしさを味わってみてください。

そのうえで、デミグラスやクリームソース、とろとろ卵のオープンスタイルなど、バリエーションに挑戦してみるのも楽しい体験です。

オムライスは、カフェや洋食店、専門店などさまざまな店で味わうことができ、そのどれもが個性がはっきりと表れる料理でもあります。

気軽に立ち寄れる店も多いため、旅の合間にふらりと訪れるのにもぴったりです。ぜひあなた好みのオムライスを見つける旅に出てみましょう!

※メニューの内容や料金、店舗情報などは2025年8月時点のものです。