夏の日本で食すべき定番料理 蒸し暑さを乗り切る工夫と味が盛りだくさん!

日本の夏は、蒸し暑さと灼熱の日差しとの闘い。うだるような暑さの中でも、日本人は季節を楽しむ工夫をたくさんしています。

その1つが、夏ならではの料理の数々。

涼しさを感じさせてくれるものや、暑さで疲れた身体に元気をくれる料理など、見た目や味だけでなく、季節感も含めて楽しめるのが日本の夏の料理の魅力です。

今回は、そんな日本の夏を象徴する定番料理を5つピックアップ。

家庭の食卓に並ぶものから、飲食店で夏にだけ登場する特別なメニューまで、どれも日本らしい繊細な味わいが詰まっています。

旅行中に見かけたら、ぜひ一度試してみてください。食を通して、日本の夏が少しだけ身近に感じられるかもしれません。

鰻料理

日本の夏の定番料理は、ウナギを抜きにしては語れません。特に『土用の丑の日』にウナギを食べる習慣は、日本独特の夏の伝統です。

うな匠のうな重

うな匠』の『うな重 上』

この風習は江戸時代にさかのぼるとされ、暑さで食欲が落ちる時期に、栄養価の高いウナギを食べて元気をつけようという考えから広まったといわれています。

毎年、『土用の丑の日』にあたる日は異なり、かつ年によっては2回あることも。いずれにせよ、7月下旬から8月上旬にかけて訪れるのが一般的です。

そして、『土用の丑の日』にこそ食べたくなるのが、うな重。ふっくらと蒸したウナギを甘辛いタレで香ばしく焼き上げ、あたたかいご飯の上に乗せた贅沢な1品です。

薪焼うなぎ 銀座おのでら 本店のウナギの調理風景

薪焼うなぎ 銀座おのでら 本店』のウナギの調理風景

お重のふたを開けた瞬間に立ちのぼる香ばしい香りと、タレが染み込んだご飯のハーモニーは、日本の夏のごちそうそのもの。

おすすめは、赤坂にある『薪焼うなぎ 銀座おのでら 本店』の『国産うな重 特上』。

年々価格が上昇しているウナギですが、ここではお重からはみ出すほどのビッグサイズであってもリーズナブルに楽しめます。薪の香りをまとったふっくらとしたウナギは、コスパ以上の満足感です。

薪焼うなぎ 銀座おのでら 本店』の『国産うな重 特上』

また、ウナギ本来の味をシンプルに楽しみたい人には、『白焼き』もおすすめ。

タレをつけず、蒸して焼き上げ、ワサビや塩でいただくため、さっぱりとした味わいです。

鰻 かねいち東上野』の『上白焼重』

中でも注目は、上野にある『鰻 かねいち東上野』の『上白焼重』。

さわやかな辛みの山椒(さんしょう)をふりかけたり、藻塩でさっぱりといただいたり、ワサビの刺激をきかせたりと、アレンジは無限大です。

シンプルなのに奥深い、ウナギの新しい魅力に出会えます。

そうめん

暑くて食欲が落ちがちな夏の日でも、つるんとのどごしよく食べられるのが、そうめん。茹でた後に冷水でしっかり冷やし、めんつゆにさっと浸していただくのが一般的な食べ方です。

さっぱりとした味わいと、スッとノドを通る軽やかさは、まさに夏の定番。

そうめんの写真

※そうめんの写真

最近では、そうめんにもさまざまなバリエーションが登場し、つけ汁やスープにひと工夫を加えた創作そうめんが楽しめるようになってきました。

渋谷駅直結の商業施設『渋谷ヒカリエ』にある『そうめん そそそ 研究室』は、現代的なアレンジを加えた斬新なそうめんと出会えるスポットです。

自分好みに麺の種類やトッピング、調味料、めんつゆの組み合わせを選ぶことができるだけでなく、定番の素材をアレンジしたオリジナルのそうめんセットも充実。

そうめん そそそ 研究室のそうめんの写真

そうめん そそそ 研究室』のそうめんに使う各種めんつゆや調味料

ぜひチョイスしたいのが、栄養たっぷりの食材を使って作る『ネバトロそうめん』です。

カツオをベースにした特製の出汁に、納豆やオクラ、いぶりがっこ(燻製たくあん)、キュウリ、鰹節、ミョウガなど、個性豊かな具材がたっぷり。

納豆とオクラは、日本では昔から親しまれている組み合わせで、ねっとりとした食感と独特の香りがクセになる組み合わせです。

そうめん そそそ 研究室のそうめんの写真

そうめん そそそ 研究室』の『ネバトロそうめん』

そうめんの進化系を気軽に楽しめる『そうめん そそそ 研究室』は、日本の夏を新しい角度から体験したい人にこそ、訪れてほしい店。

伝統をベースにしながらも自由に楽しめる、今どきのそうめんカルチャーをぜひ体験してみてください。

冷やし中華

多くの家庭でも親しまれているのが冷やし中華。

茹でた中華麺を冷水でしっかりしめ、細切りにしたキュウリやチャーシュー、錦糸卵、トマトなどを彩りよくトッピングし、醤油やごま風味のタレをかけてさっぱりといただくのが定番のスタイルです。

冷やし中華の写真

※冷やし中華の写真

見た目の華やかさと、つるんとした食感、食欲をそそる酸味のきいたタレが、暑い日にもぴったり。

日本の夏に欠かせない冷やし中華に、ひと味違うアプローチを加えたのが、代々木にあるラーメン店『麺恋処いそじ』の『冷やし中華』です。

『麺恋処いそじ』の『冷やし中華』

麺恋処いそじ』の『冷やし中華』

見た目のインパクトもさることながら、内容も非常に豪華。

チャーシュー、ヤングコーン、味玉、トマト、キュウリ、焼きナス、大葉、海苔、カイワレといった旬の夏野菜がたっぷりと使われ、まるでサラダのような1杯に仕上がっています。

多くの冷やし中華が醤油ベースのタレを使うのに対し、『麺恋処いそじ』では酸味をきかせた魚介豚骨スープを使用。

これがまた驚きの相性で、出汁の繊細な香りとコク深いうまみが口の中いっぱいに広がります。

こってりしていそうに思えて、実際は重たさを感じさせず、後味は驚くほどすっきりしているのです。

『麺恋処いそじ』の『冷やし中華』

麺恋処いそじ』の『冷やし中華』

全体をよく混ぜて食べれば、色とりどりの具材が一体となり、それぞれの味、香り、食感が次々と重なり、食べ進めるたびに変化する冷やし中華。

定番のイメージを覆す、新しい冷やし中華の魅力に出会えます。

冷や汁

日本の九州地方、特に宮崎県を中心に古くから食べられてきた郷土料理『冷や汁』は、いつしか全国区の知名度を誇る、夏の定番料理となりました。

冷や汁の写真

※冷や汁の写真

『冷や汁』とは、味噌と魚介を合わせて作った冷たい味噌汁を、崩した豆腐やスライスしたキュウリ、ミョウガなどの薬味と一緒に、ご飯にかけていただく料理。

さっぱりとした口当たりと、薬味の香り、そして味噌と魚介のうまみが絶妙に混ざり合い、暑さで食欲が落ちている時でも、ぺろりと食べられてしまうから不思議です。

この伝統の味を、現代風にアレンジしたユニークな1品が楽しめるのが、中野にあるラーメン店『味噌が一番』。夏季限定で『冷や汁つけ麺』を提供しています。

『味噌が一番』の『冷や汁つけ麺』

味噌が一番』の『冷や汁つけ麺』

ご飯の代わりに麺を使う『冷や汁つけ麺』は、冷たい味噌ベースのつけ汁でいただくつけ麺です。

清涼感たっぷりのつけ汁は、ただ冷たいだけでなく、やさしい味噌の風味と魚介のうまみがしっかりきいていて、後を引くおいしさ。

冷や汁の伝統を感じつつ、新しい形で味わえる『冷や汁つけ麺』は、暑い季節の食の楽しみ方をさらに広げてくれます。

『味噌が一番』の『冷や汁つけ麺』

味噌が一番』の『冷や汁つけ麺』

夏野菜料理

夏は太陽の恵みをたっぷり受けた野菜たちが、一斉に旬を迎える季節。

ナス、カボチャ、シシトウ、トウモロコシ、トマトなど、彩り豊かでみずみずしい夏野菜を生かした料理は、日本の家庭でも飲食店でも、夏の定番メニューとして親しまれています。

季節感を取り入れた料理を提供しているのが、浅草橋にある『日本酒バル 醸ス(かもす)』。夏の時期に合わせて、旬の野菜を使った季節限定メニューが次々と登場します。

人気メニューが、『とうもろこしの天ぷら』で、衣の中にぎっしりと詰まったトウモロコシの粒々感が楽しく、ひと口食べると甘みがじゅわっと広がる逸品です。

日本酒バル 醸ス(かもす)の夏野菜料理

日本酒バル 醸ス(かもす)』の(左)『とうもろこしの天ぷら』、(右)『鮎の天ぷら』

サクサクの衣と、素材の甘さのバランスが絶妙で、大人から子供まで思わず笑顔になること間違いなし。

さらにもう1つ、『夏野菜の出汁浸し』は、ナスやズッキーニ、パプリカなどの野菜を丁寧に焼き、冷たい出汁にじっくりと浸して仕上げた料理。

冷やして食べることで、野菜のうまみが引き立ち、暑い日にぴったりのさっぱりとした味わいです。

『日本酒バル 醸ス(かもす)』の『夏野菜の出汁浸し』

日本酒バル 醸ス(かもす)』の『夏野菜の出汁浸し』 

使われる野菜は日によって変わるため、訪れるたびに違った旬の味を楽しめるのも『夏野菜の出汁浸し』の魅力。

季節の移ろいを、野菜で感じる、日本らしい夏の楽しみ方を、味わってみてはいかがでしょうか。

番外編:冷製おでん

おでんといえば、寒い季節に恋しくなる料理の代表格。しかし、実は夏にもぴったりなおでんがあるんです。

麻布十番にある『O’denbar うまみ 麻布十番』では、夏季限定で冷製おでんを提供中。

ひんやりとしたおでんは、暑い日にも出汁のうまみをしっかり味わえる、涼を感じる1品です。

『O’denbar うまみ 麻布十番』の『つめたいトマトのおでん〜とろろ昆布のせ〜』

O’denbar うまみ 麻布十番』の『つめたいトマトのおでん〜とろろ昆布のせ〜』

人気のメニューは、『つめたいトマトのおでん〜とろろ昆布のせ〜』。皮を湯むきした完熟トマトをまるごと出汁にじっくりと浸し、中までうまみを染み込ませて作ります。

トッピングには、細かく刻んだとろろ昆布をオン。出汁の香りをまとったトマトに、昆布の独特の風味とねっとりとした食感が加わり、ひと口ごとに奥深い味わいを楽しめます。

O’denbar うまみ 麻布十のおでんに使う出汁

O’denbar うまみ 麻布十番』のおでんに使う出汁

昆布とカツオ節を丁寧に煮出して作られた、澄んだ黄金色の特製出汁は、しっかりとコクがありながら、冷たくしても雑味のないクリアな味わいが印象的です。

番外編:冷麺

冷たいスープでいただく冷麺は、朝鮮半島発祥の料理として知られていますが、日本でもすっかり夏の定番メニューに。

特に焼肉とともに味わう麺料理として愛されており、専門店ではほぼ間違いなくメニューに並ぶ人気ぶりです。

しかし、ちょっと意外な場所でも楽しめるのをご存じでしょうか。

麻布十番にあるおでん店『O’denbar うまみ 麻布十番』では、夏限定で冷製おでんスープを使った『おでん屋さんの出汁冷麺』を提供しています。

『O’denbar うまみ 麻布十番』の『おでん屋さんの出汁冷麺』

O’denbar うまみ 麻布十番』の『おでん屋さんの出汁冷麺』

この冷麺の最大の特徴は、なんといってもおでん店ならではのスープのこだわり。

通常は牛骨や鶏ガラベースのスープが使われることが多い冷麺ですが、『O’denbar うまみ 麻布十番』では冷やしたおでんの出汁を使用。

昆布とカツオ節から丁寧にとった出汁は、透き通っていながらうまみが凝縮され、口に含むとやさしくも奥行きのある味わいが広がります。

『O’denbar うまみ 麻布十番』の『おでん屋さんの出汁冷麺』

O’denbar うまみ 麻布十番』の『おでん屋さんの出汁冷麺』

麺はなめらかで、もちもちとした食感とのどごしのよさが際立つタイプ。冷たい出汁と一緒にすすれば、暑さを忘れるような清涼感が味わえます。

暑い夏の日、日本では涼を感じさせてくれる料理がたくさんあります。

旬の食材を使い、見た目にも味にも工夫をこらした夏の定番メニューは、ただ身体を冷やしてくれるだけでなく、元気をくれる存在。

伝統的なものから、創意あふれるアレンジ料理まで、バリエーションは実に豊かです。

日本ならではの夏の味覚を楽しめば、季節そのものを味わう喜びにも出会えます。

※メニューの内容や料金、店舗情報などは2025年8月時点のものです。