海外からの訪日外国人でにぎわう東京。国際化が急速に進む中、よく目にするのが『ヴィーガン対応』の文字です。
カフェやレストラン、ファストフードまで、多様なヴィーガンメニューが提供されるようになり、東京はますますヴィーガンフレンドリーな都市へと進化しています。
訪日外国人にとっても、食の選択肢が増えるのは嬉しいこと。特にヴィーガンをライフスタイルとして取り入れている人にとっては、旅先でのグルメは重要なテーマです。
東京で出会うヴィーガンメニューは、日本らしさを感じられる和の1品から、世界各国の味を取り入れたフュージョン料理まで、そのバリエーションは想像以上。
旅の合間に立ち寄れる店ばかりなので、観光と一緒にヴィーガングルメ巡りも楽しめます。
ジャンル別で楽しむ!東京ヴィーガングルメ特集
東京では、和食からエスニック、ファストフードまで、ジャンルの枠を超えたヴィーガン料理が楽しめます。
ここでは、今回ご紹介する10店舗から、それぞれの得意ジャンル別におすすめメニューをご紹介。旅の気分や食べたい気分に合わせて選べます。
ラーメン
植物性とは思えないほどコクのあるスープと、モチモチの麺。ラーメン好きのヴィーガン旅行者にも満足してもらえる、東京ならではのヴィーガンラーメンがそろっています。
〇浅草名代らーめん与ろゐ屋

『浅草名代らーめん与ろゐ屋』の『特製らーめん(醤油)』
看板メニューは醤油ラーメンの『特製らーめん(醤油)』ですが、動物性食材を使わない『ヴィーガンらーめん』もかなりの完成度。
スープに使う出汁は野菜をメインに、昆布でうまみとコクを補強し、タレには生の醤油を使っています。
クリアな味わいで、野菜ならではの甘みもしっかり。滋味深い味とは、このスープのことだと思わずにはいられません。
〇ヴィーガンビストロ じゃんがら

『ヴィーガンビストロ じゃんがら』の『ヴィーガンからぼん』
『ヴィーガンビストロ じゃんがら』は、秋葉原に本店を構えるラーメン店の『九州じゃんがら』が、2021年にオープンした新業態。
もともと『九州じゃんがら』で提供しているスパイシーなとんこつラーメンである『からぼん』をヴィーガン食として再現した1杯が『ヴィーガンからぼん』です。
うまみが出る野菜を煮込むことで、コクの深さを実現したスープは、動物性食材を一切使用していないとは思えないほど。
詳しい食材や製法は企業秘密ですが、卵を使わず『九州じゃんがら』と同じコシのある食感を再現した、特注の麺も秀逸です。
〇T’sたんたん エキュート上野店

『T’sたんたん』の『金胡麻たんたん麺』
東京駅、池袋駅、上野駅構内のほか、成田空港にも店舗を構える『T’sたんたん』の看板メニューが、『金胡麻たんたん麺』。
動物性食材を一切使用していないにもかかわらず、濃厚な味わいがあり、トッピングのピーナッツペーストをスープに溶かすと、より一層コクが増します。
また、トッピングに、コマツナ、豆苗、鮮やかなピンク色をした紅芯大根など、色とりどりの野菜がふんだんに使われているのも『金胡麻たんたん麺』の魅力であり特徴です。
食感を残したさまざまな野菜がトッピングされているため、食後の満足感はかなりのもの!
寿司
日本を訪れたら一度は味わいたい寿司も、東京ではヴィーガン仕様で楽しめます。見た目も美しく、味わいも本格的な寿司体験をぜひ。
〇Vegan Sushi Tokyo

『Vegan Sushi Tokyo』のヴィーガン寿司
『Vegan Sushi Tokyo』で寿司ネタとして使われているのは野菜と、大豆や植物から作った代替食品。
特に野菜を寿司ネタに使っている寿司は、素材本来のうまみを生かし、味付けはもちろん調理法も吟味しているこだわりぶりです。
使用できる食材や調味料が限られる中でも、満足できる味を追求した究極のヴィーガン寿司とともに、和を感じる贅沢なひと時を楽しめます。
〇SUSHI権八 西麻布

『SUSHI権八 西麻布』の『ヴィーガン握り(六貫)』
すべて野菜のみを寿司ネタに使った『ヴィーガン握り(六貫)』を提供しているのが、『SUSHI権八 西麻布』です。
食材そのものの味を楽しめるよう、野菜の多くは、ほとんど味付けがされていません。
それでいて、ネタによって風味も味わいも大きく異なり、食べるたびに楽しみながら新しい野菜の可能性に気付かされます。
バーガー
カジュアルに楽しめるヴィーガンバーガーは、観光の合間のランチにもぴったり。素材やソースにこだわった東京ならではのスタイルがそろっています。
〇新宿NEOアツシ

『新宿NEOアツシ』の(左)『ガーリック・【フェイク】シュリンプ』 、(右)『完全菜食テリたまバーガー』
まずご紹介したいのは、新宿の『新宿NEOアツシ』。同店のヴィーガン料理のレベルの高さを実感できるメニューが『完全菜食テリたまバーガー』です。
植物由来の食材で再現した卵はスクランブルエッグ状で、とろとろな食感。ほのかに甘みを感じ、本来の卵と変わりありません。
パティタイプと薄切りタイプの2種類の大豆ミートには、ひと工夫。薄切りタイプはあえてカリカリになるまで焼いており、食感のアクセントを加えてくれます。
〇ヴィーガンビストロ じゃんがら

『ヴィーガンビストロ じゃんがら』の『グリルバーガー』
原宿にある『ヴィーガンビストロ じゃんがら』の『グリルバーガー』は、見た目も味も本物以上を追求した1品です。
ソイミートのパティは企業秘密の味付けが施されており、そのジューシーさは驚くほど。
動物性の素材を一切使っていないにもかかわらず、本物の肉かと思ってしまう完成度です。
さらに嬉しいのは、ワカモレ・サルサ・タルタル・チーズの異なる4種類のソースが用意されていること。自分好みにカスタマイズできるのも楽しみの1つです。
〇ライスバーガー専門店 おこめどき

『ライスバーガー専門店 おこめどき』の『ギャンモライスバーガー』
日本らしさを味わいたい方におすすめなのが、同じく原宿にある『ライスバーガー専門店 おこめどき』の『ギャンモライスバーガー』。
こちらはライスバーガー専門店で、パティには大豆から作られたがんもどきを使用しています。
食べごたえたっぷりのがんもに絡む、甘辛い照り焼きソースがご飯との相性抜群で、まさに和風ヴィーガンバーガーの真骨頂。
外国からの旅行者にもぜひ味わってほしい、日本ならではのバーガーです。
ボウル&プレート
サクッとヘルシーに食べたい時は、野菜中心のボウルメニューやライスプレートが活躍。見た目もカラフルで、旅先の栄養補給にもぴったりです。
〇Cosme Kitchen Adaptation

『Cosme Kitchen Adaptation』の『オールインワンボウル』
渋谷にある『Cosme Kitchen Adaptation』の『オールインワンボウル』は、まさにその名の通り、すべてが1つに詰まった、サラダボウル。
蒸したり、グリルしたりと、野菜一つひとつに合わせた調理法を用いることで、それぞれの食感や味わいが引き立つように工夫されています。
さらに、特筆すべきは自家製のドレッシング。
すりおろしたリンゴやタマネギ、米油、てんさい糖をベースに作られ、やさしい甘さとさっぱり感のバランスが絶妙です。
〇EVERYONEs CAFE

『EVERYONEs CAFE』の『ヴィーガンサラダライスプレート』
上野の『EVERYONEs CAFE』の『ヴィーガンサラダライスプレート』も見逃せません。
こちらは「誰もが安心して楽しめる食事」をテーマに掲げ、メニュー作りにも多様性への配慮が感じられます。
主役となるのは、季節ごとに内容が変わる旬の野菜たちです。
旬ならではの甘みやうまみがぎゅっと詰まっており、それを引き立てるのが、ビネガーの効いたグルテンフリードレッシング。
さっぱりとした酸味が、野菜の甘さを引き立て、最後まで飽きずに楽しめます。
揚げもの&餃子
ヴィーガンでも唐揚げや餃子が楽しめることをご存知でしょうか。植物性素材を上手に使った、驚きのジューシーさを体験してください。
〇Cosme Kitchen Adaptation

『Cosme Kitchen Adaptation』の『有機バルサミコの南蛮風ベジからあげ丼』
ヴィーガンメニューが豊富にそろう、渋谷の『Cosme Kitchen Adaptation』の『有機バルサミコの南蛮風ベジからあげ丼』は食べごたえが抜群。
大豆ミートをカラッと揚げて作るから揚げに絡めるのは、有機バルサミコ酢をベースに、てんさい糖とみりんで甘みとコクを加えた、まろやかで芳醇な南蛮ソースです。
仕上げには、程よい酸味がアクセントの自家製タルタルソースをトッピング。
アボカド、ミニトマト、紫キャベツ、リーフレタス、玄米と一緒に混ぜて食べると、それぞれの素材の味が一体となり、完成度の高さに驚かされます。
〇ヴィーガン居酒屋 真さか

『ヴィーガン居酒屋 真さか』で圧倒的な人気を誇るのが『唐揚げ定食(南蛮タルタル)』
同じく渋谷にある『ヴィーガン居酒屋 真さか』で圧倒的な人気を誇るのが『唐揚げ定食(南蛮タルタル)』です。
大豆ミートのから揚げは、肉の繊維質まで鶏肉そっくり。ひと口目でその再現度の高さに驚かされます。
甘酸っぱいタレと、コクのある植物性タルタルソースは、ヴィーガンから揚げに絡めると、白米がどんどん進むおいしさ。
ヴィーガン初心者でも、満足感たっぷりに味わえます。
〇T’sたんたん

『T’sたんたん』の『全部野菜の焼き餃子』
そして、揚げものとは少しジャンルが異なりますが、サイドメニューとしてぜひ紹介したいのが、上野駅構内に店舗を構える『T’sたんたん』で提供されている『全部野菜の焼き餃子』。
皮、具、調味料、すべてが植物性由来ながら、ひと口食べればそのジューシーさとしっかりした味付けに感動を覚えます。
淡白になりがちなヴィーガンメニューのイメージを覆す、香ばしくてうまみたっぷりの1皿だからこそ、『全部野菜の焼き餃子』を目当てに店を訪れるファンも多いというのも納得です。
エリア別おすすめヴィーガンスポット
東京には、多様なカルチャーが息づくエリアごとに個性的なヴィーガン料理がそろっています。
観光やショッピングの合間に、エリアごとの特色を感じながらおいしく楽しめるスポットを見つけましょう!
浅草エリア
情緒あふれる浅草は、雷門や浅草寺など観光名所が集まる、いわずと知れた東京随一の観光地。
歴史ある街でも、近年はヴィーガン対応の飲食店が増えてきました。
和の風情に合う、やさしい味わいのヴィーガンラーメンを提供する店が、創業1992年の『浅草名代らーめん与ろゐ屋』です。

『浅草名代らーめん与ろゐ屋』の外観
メディアでも数多く取り上げられてきた『浅草名代らーめん与ろゐ屋』は、連日行列ができるほどの人気店。
ここで味わえるヴィーガンラーメンの詳細は、こちらの記事をチェック!
渋谷エリア
最新トレンドが集まる渋谷は、ヴィーガンカルチャーの最前線ともいえるエリア。
ヴィーガンメニューにアレンジしたから揚げ丼やタイ料理を味わえる『Cosme Kitchen Adaptation』に、定食スタイルで味わえる『ヴィーガン居酒屋 真さか』、クオリティの高いヴィーガン寿司を楽しめる『Vegan Sushi Tokyo』もあり、多様なニーズに応えてくれます。
観光と一緒に楽しむにはぴったりの渋谷の多彩なヴィーガングルメを覗いてみましょう。
新宿エリア
新宿は、オフィス街とエンタメ、ショッピングが混ざり合い、昼夜を問わず活気にあふれています。
駅周辺にはさまざまな飲食店が並び、外国人観光客にも使いやすい立地です。

『NEO新宿アツシ』の内観
そんな中で注目を集めているのが、サイバーパンクをテーマにした内装がインパクト抜群の『NEO新宿アツシ』。
ディストピア感満載のヴィーガンバーガーを都会的な空気の中で味わうことができ、唯一無二の体験ができます。
原宿エリア
若者文化とファッションの発信地・原宿では、ポップでカジュアルなヴィーガンフードが似合います。

『ヴィーガンビストロ じゃんがら』の内観
SNS映えする見た目と、食べごたえのある味わいを両立した店が点在し、ライスバーガーの『ライスバーガー専門店 おこめどき』やヴィーガンラーメンを看板メニューとしたヴィーガン専門店の『ヴィーガンビストロ じゃんがら』など、幅広いスタイルが楽しめるのも、原宿エリアならでは。
2店舗とも、竹下通りやキャットストリートの散策途中にも立ち寄りやすい立地です。
六本木エリア
アートやナイトライフ、インターナショナルな雰囲気が漂う六本木では、洗練された空間が広がる『SUSHI権八 西麻布』のヴィーガン寿司が注目されています。

『SUSHI権八 西麻布』のテラス席
落ち着いた店内で、丁寧に仕上げられたヴィーガン寿司をゆっくり味わう時間は、観光の余韻を楽しむひと時にもぴったりです。
しかも、『SUSHI権八 西麻布』は、あの有名な映画『キル・ビルVol.1』に登場する舞台セットのモデルになったことでも有名。
魚介を使った通常の寿司もあり、食の趣味嗜好に関わらず、特別な空間で誰もが極上の寿司を堪能できます。
上野エリア
上野公園や美術館、動物園など、自然と文化を同時に味わえるエリアとして人気の上野。
1人はもちろん、家族でも楽しめるヴィーガンスポットが点在しています。

『T’sたんたん エキュート上野店』の外観
上野駅構内にあるヴィーガン専門のラーメン店である『T’sたんたん エキュート上野店』では担担麺や餃子、パスタやスイーツ、東京産の食材を使って作る定食まで幅広くそろう『EVERYONEs CAFE』ではサラダライスプレートなど、しっかり食べたい人におすすめのメニューが盛りだくさん。
いずれも身体にやさしく、それでいて満足感のあるメニューが魅力です。
東京のヴィーガングルメシーンは、新しいおいしさに出会える場として、今や1つのカルチャーとして定着しつつあります。
ラーメンや寿司、バーガーにエスニックまで、バリエーション豊かに広がるメニューは、どれも驚きと満足感に満ちたものばかり。
旅の途中にふらりと立ち寄ってみたり、気になる店を目指して街歩きを楽しんだり、ヴィーガンをもっと自由に、自分のペースで取り入れてみてください。
動物性食材を使わないという選択が、環境や身体にやさしいだけでなく、何よりもおいしくて楽しいということが分かります。
東京のヴィーガン体験は、そんな小さな驚きをきっと与えてくれるはずです。
※メニューの内容や料金、店舗情報などは2025年8月時点のものです。